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Homeshakeのころ

最近、よく聴いているのはHomeshake。以前から聴いているが。

Fresh Air

Fresh Air

  • アーティスト:Homeshake
  • Captured Tracks Rec.
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一番聴いていたのはIT系の資格試験を受けていた頃。今の会社に入る前で、そろそろ就職のことを考えなきゃな、と思っていた。まったく、なにもアテはなかったが。

フリーランスだったのは「フリーランスになろう」と思ったからではなく、たまたまそうだった。というか、フリーランスになるための試験とか手続きはないわけで、ある意味会社員とか学生のような社会的立場・身分を持たない人は皆フリーランスといえるのかもしれない。

その意味では、ぼくは大学を卒業した時点からずっとフリーランスだったわけだ。仕事がなくてもフリーランスというのかはわからないが。昔はフリーターとかニートとか言ってましたっけ・・今も言うのかもしれないが。

おととしの11月に会社に入るまで、ずっとフリーランスだった。でもそれはたまたまそうだっただけで、自分で選んだものではなかった。それで今あらためて思うと、ぼくはまったくそれに向いていなかった。これを続けてはいけない、と思ったのはそれを痛感していたからだろう。

編集の仕事をさせてもらっていたが、それもまた偶然のめぐり合わせというのか、ぼくに声をかけてくれた寛容でリスクテイカーな人々がいたからだった。ぼく自身がそれをさせてくださいと言ったことはたぶんほとんど(記憶にある限りは一度も)ない。だから私はすごい、という話ではなく、向いてないのに続けてしまったのは自分にとってあまり良くなかったな、ということ。

ただなんというか、楽しかった・・頼られるということが。わずかながらも、自分の成したことが誰かの役に立つということが。フリーランスという生き方には向いていなかったが、scholaのような編集作業にはそこそこ適性があり、ぼくは魔法の杖を持っていた。それをさっと振るだけで、何かが生まれた。誰にでもできることではない。小さいコストで大きなものが生まれた。それが楽しかった。喜んでもらえることが嬉しかった。だから続けていた。

しかし自分の値付けには失敗していたと思う。もっと裕福になるための努力をすべきだったのかもしれない。しかしあまりそういうことを考えておらず、漫然と30代を過ごしてしまった。このままだと丸裸になって夜道を彷徨うことになるな、と思っていた。本当に。

プログラミングを始めたのは、考えてみるとそのフリーランスの中頃、または後半の頃だった。新しい仕事のきっかけになるかも、ぐらいには思ったがそれ以上に「できないことをできるようになってみたい」という気持ちが大きかったのだと思う。

IT系の資格試験を受けたのはそれから4〜5年した頃で、基本情報技術者試験というのに1回落ちて2回めで受かった、その頃が一番大変だったし充実していた。そしてそれはscholaをやっている最終盤の頃だったから、極限的といえば極限的、今思い返すとただ寒々しいというか、色のない世界を生きているようだった。いやな記憶ということではなく、いやー頑張っていたなという感じ。

1回目の落ちたときは確か0.5点ぐらい基準点に足りなかったはずで、これにはさすがに笑った。落ち込むよりウケた。そのときのことはココに書いた。

note103.hateblo.jp

しかし大変だったのはその後で、たしか半年後ぐらいに受けたとき、合格はしたのだが、このときの点数が前回落ちたときから2点ぐらいしか上がっていなかった。2点!半年めいっぱい勉強して上がった点数が2点だった。とにかく苦手だった、その、擬似言語を使ったアルゴリズムの問題というのがですね、苦手だった・・。

話を戻すと、その苦手だった科目を一生懸命勉強しながら聴いていたのが最初に紹介したHomeshakeの『Fresh Air』というアルバムだった。もう秋も深まる頃の夜道を、mp3に録音した参考書の特典動画の講義音声を聴きながら歩いていた。クイックソートとかバブルソートとかの違いや特徴に関する講義を聴きながら、ずっと真っ暗な中を散歩していた。それで講義音声に飽きると、Spotifyに切り替えてHomeshakeやSalesを聴いていた。

たしかその頃に聴いていた音楽についてまとめた記事があったはず、と思ったらこれだった。

note103.hatenablog.com

1個だけここにも再掲。

www.youtube.com

最近はなんだか新型コロナウィルスのことがすごい。その影響で会社もリモートワーク推奨になって、そういう話を今日は書くだろうと思っていたが、まったく関係ないことを書いているうちにキリがよいところまで来た気がするので、ここまで。

降伏の記録、かるくPerlプログラミング

読書

植本一子さんの『降伏の記録』を読んでいた。

圧倒的に引き込まれた。ものすごい。何がどうすごいのか。こういう本自体は他にもある。でも、こういう文章はあまりない。圧倒的。この人のシリーズというか、他の本も全部読むことになるかもしれない。

正直、気がラクになったというか、元気になった。軽みのある話題もあるものの、基本的には重い話題が多い。でもその部分こそが、ぼくを元気にした。

プライベートでは、自分にも大変なことはある。時にはどん底と言いたくなることも。でも、これを読んだら「まだまだだな」と思ってしまった。強いとか弱いとかではなく、なんだこんな世界もあるのか、この世界には。と、一気に世界が広がり、客観的になることができ、自分のつらさは、自分が勝手に決めたつらさだったのだ、と思った。

プログラミング

カレントディレクトリ内の複数ファイルに対して同時にcatをかける、というのをPerlでシュッとやるのを作った。
note103.hateblo.jp

gyazo.com

リポジトリにも上げた。
GitHub - note103/cats

あとこのツールも少しアップデート。
finds/find-word.pl at master · note103/finds · GitHub

その他、未公開のもので2つほど。

1つは、Scrapboxに現在見ているWebページをコメント付きでブックマークする以下のツールのアップデート版。
note103.hateblo.jp

もう一個は、しょっちゅうTwitterとかでは言ってるのだけど、Scrapboxの日記ページに淡々とコメントを投稿していくツール。

これはほとんどHTMLとJavaScriptでできているんだけど、スマホからも投稿できるようにしよう、と思うとGAEとかHerokuとかにアップする必要があり、その際にPHPが必要になってくる感じ。

ほんとはもっと簡単かもしれないんだけど、自前の知識だけでやろうとするとそうなってしまう。

ともあれ、それらも時間ができたらブログにまとめたいとは思っているところ。ただしその場合は、プログラミング用のブログに。

失敗を恐れる

A: あなたは失敗を恐れていますね。

B: もちろんです。いつも恐れています。しかし、それは誰だってそうでしょう。

A: 人間は失敗をするものです。恐れていても仕方ないのではないですか。

B: いえ、失敗を恐れることで物事の判断に慎重になるというメリットがあります。

A: 慎重になりすぎて、やるべき時にできないというデメリットもあるでしょうね。このように考えてはどうでしょうか。人が失敗を恐れるのは、結局のところ他人からの評価が低くなることを恐れているからに過ぎないのだと。本来はそんなことを恐れる必要はなく、失敗は次の試みの確度を高めますし、いわば成功へのプロセスとも言えるのではないですか。

B: ある面においてはそうかもしれませんが、常に真とは言えません。もし二者択一の賭けがあったとして、当たれば金持ちになるが、外れれば全財産を失うという状況があったとき、私は他人の評価など関係なく失敗を恐れますよ。

A: たしかに、その場合には他人からの評価など関係なく失敗を恐れることになりますね。しかし、そもそもそんな賭けをしなければ良いだけの話ではないですか。

B: 喩え話の前提を変えてはいけません。喩え話とは、あくまでその話者が思い描いているイメージを他人にも想像しやすくするために構築する、一時的で恣意的な世界像に過ぎません。それは「話者自身のイメージを説明するための世界像」なのです。その前提を他人が変えたら、それが存在する理由はなくなります。

A: わかりました。ではあなたの言うとおり、「人が失敗を恐れるのは他人の評価を気にするからである」という私の考えがすべての事象は説明できない、ということを私は認めましょう。ところで今、私はそのようにひとつの失敗を認めました。これにより、今までになかった知見を得ることができ、その点で私はひとつの成功を収めたとも言えるでしょう。つまり、先ほど言ったもう一方の「失敗は成功へのプロセスである」という定義については証明できたように思いますが、どうでしょうか。

B: それはそのとおりかもしれません。しかし、なにか反証を考えられそうな気もします。これについては、次までに考えておきたいと思います。

美容院、音楽、フェミニズム

美容院

髪を切りに千葉へ。(千葉から)

数年前に東京から千葉へ戻ってきて、しばらくの間なかなか美容院が決まらなかったが、たぶん5件目ぐらいで見つかったのが今行っているところで、ほぼ同い年の美容師さんが1人でやっている。

いつもかかっている音楽はレディオヘッドとかROVOとかソニック・ユースとか、2000年代前後に流行ったテクノとロックとインプロヴィゼーションアンビエントが混ざったような、BGMとしても聴けるその辺のがかかっていて良い感じがする。

しかしふと思ったのだけど、これはこの店に不満があるというわけではなく、ないものねだりのような感じで、「うちはお客さんから話しかけられない限り、店側から世間話はしません」みたいな店はないものか。

このイメージは先日行ったfuzkueからインスパイアされたものだけど、

note103.hatenablog.com

結局、世間話というのはけっこう疲れる。それこそ即興演奏のように最適な回答を考えて返したり、何も考えていないときに話しかけられたら社交モードに戻ったりしなければいけないし、なんというか、楽しみというよりある意味仕事みたいになってしまう。

その点、「客が望まないかぎり話しかけられない」ということが最初からわかっていたら、かなりリラックスできるんじゃないかな、と思えてくる。アクションされないから、リアクションも不要。

もちろん、テクニカルな意味で「**はどうしますか」とか「**の希望はありますか」とか聞かれるのは問題なくて、問題なのは「想定外の話題を突然振られること」なので、そういうのが無ければいいんだけどな、と思ってしまう。

その店の雑談はまったくいやな感じではないんだけど、良いか悪いかとは関係なく、たんに「何も考えずに過ごしたい」ということ。

帰り道、ペリエ千葉のくまざわ書店で2冊購入。

どちらもまったく買う予定がなかった本だけど、魅力的に見えたので。

同店の書棚は非常に意欲的。工夫があるし、手もかかっている。行くたびに何か買う、というほどではないけれど、今日のようにいろいろタイミングが合うと数冊買ったりする。(今日は4,000円超えた)

植本さんのこういう本があることは以前から知っていたけど、パラパラめくってみたらfuzkueのことなども出ていて、文章もどれも体に迫るものがあったから、これは逃げられないなと思って買った。

リービさんのもパラパラめくって、どれも見逃したくない、と思ったので。

少し離れたところに加藤典洋さんの対談本もあって、それも面白そうだったんだけど、上記2冊の訴求力というのか、強さがすごかったのでとりあえずそちらから。

音楽

移動中はひたすら以下をSpotifyで聴いていた。

祝祭

祝祭

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午前はずっとこんな感じだったので、

その続きというか。

中村佳穂さんのそのアルバム、ものすごい。どれもすごいが、とくに「そのいのち」はやばい。なんだかクラムボンの「Folklore」にも近い雰囲気だと思っていたら、Spotifyの関連レコメンドでその曲のNujabesのリミックス版(「Imaginary Folklore」)が流れてきてさすが、という感じだった。

そのいのち
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Imaginary Folklore
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それにしても、現代の音楽生活にSpotify(のようなサブスクリプションサービス)はもはや欠かせない。少し前まで、「やっぱりモノじゃないと!」という、パッケージ至上主義的な音楽ファンによるコメントを見ることがあったけど、強い実感として思うのは、本当に音楽が好きだったら、この手のサービスを使わずに限られた人生を過ごすというのは結構リスキーで、使えるなら使った方がいいよな、ということ。なぜなら、これがなければ出会えたはずの音楽に出会えないまま死んでしまう可能性があるからで、実際サブスクリプションサービスがなければ出会えなかった音楽がもう両手では足りないぐらい(というどころではないぐらい)たくさんある。

加えて、すでにCDなどのパッケージを持っていても尚、サブスクリプションサービスを通してその好きな音楽を再生すればそれに応じた見返りがアーティスト側には入るはずで、その仕組みがなければ、一度買ったパッケージを何度自宅で回転させたところでアーティストに新たな収入は生じない。

音楽2

カネコアヤノ「サマーバケーション」「アーケード」、中村佳穂「そのいのち」「きっとね!」等を聴いていると、そのつど頭の中身がぐるっと生き返る感じがある。眠っていたものが生き返る、あるいは今まで生きていたものが別のものに生まれ変わる感じ。ああ、これが「元気になる」ということなのではないか、と思う。

疲れているとき、「しっかりゴハンを食べれば元気になる」という言説があり、また「眠れば回復する」というイメージもあるが、自分の経験を振り返って、本当に「元気になった」と思えたときって、そういうことをした後ではなく、何か意識・認識がガラッと変わったときで、「そうだったのか!」とか「それでいいんだ!」とか「なんか出来そう!」みたいに思ったときな気がする。

良い音楽、好きな演奏を聴いていると、それに近い感覚に襲われる。「アーケード」のイントロはなんだかマシュー・スウィートを思い起こさせる。

アーケード
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ガールフレンド
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マシュー・スウィートはこれもいい。

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精神に作用する何かの力で、疲れやストレスは消える。問題は、何を使ってそれをするかということだ。音楽は他のドラッグ類に比べたらだいぶ安全(合法性が高い)だろう。

考え

最近考えていること。フェミニズムの話題がまた少し盛り上がってきた。以前からそうでもあるけど、ぶり返す間隔が狭くなってきたような印象がある。

以前、女性擁護・権利回復みたいな話題についてTwitterで触れていたら、お互いにフォローしている人から「何が男女平等だ、日本ではそんなものはとっくに実現されていて、今はむしろ男性の方が苦しんでいる。このうえ女性を優遇するなら逆差別だ」と言われて、驚いた。

その人のことは普段から博識ですごいなあ、と思っていたので、自分が抱いていたその印象と発言とがまったく結びつかず、しばらく唖然としたままだった。どこからどう考えても、日本において男女平等はまったく果たされていないし(医大入試や夫婦別姓、痴漢被害だけでも根拠としては十二分だろう)、男性が苦しんでいるとしてもそれは男性が女性や社会から差別されているということではなく、性別によって人間の役割を規定・強制している社会のあり方に問題があることを示しているのであって、問題の根はむしろ女性差別と共通だと考える方が自然だろう。にもかかわらず、女性の地位向上や男女平等*1への取り組みが男性を苦しめるなんて、あまりにも短絡的というか身勝手というか、単純に間違っている。

しかし一方で、その発言を聞いてから思ったが、その人がそのように「俺たちのほうが女よりも苦しんでいる」と感じていること自体はその人にとって圧倒的に事実なのであって、それを他人が否定することはできない。フェミニズムは社会のあり方について語っているのであって、だからそれに対して「俺は苦しんでいる」というのは話がずれているけれど、ずれていることを脇に置いておけば、現実にそのように苦しんでいる人がいることは確かだろう、ということ。

つまり、フェミニズムや女性擁護等を語るときに、それに反発する男性(主には男性であるように見えるのでそう書くが)との間で話が噛み合わないのは、結局のところ、この「苦しんでいる男性」の存在やその苦しみの原因が今ひとつ明確に可視化されていないことに要因があるのではないか、と思いはじめている。

苦しむ男性の苦しみは確かにある、と認めた上で、しかしその苦しみを解消することと、女性の地位向上・平等などを実現することはべつに矛盾しない(どちらかを取ればどちらかが落ちる、というものではない)という共通の認識を持つためには、果たしてどうしたらいいのか。苦しむ男性は働きかける相手を、戦う相手を間違ってはいないか。戦うのではなく、共に創ることを目指すことはできないだろうか、と思っている。

*1:実際には男女間のみならず性的マイノリティを含めて取り組むべきことだけど。

2020/01/24の名曲ベスト

前回の様子はこちら。

note103.hatenablog.com

とにかくその時点での好きなポップミュージックを挙げていく、というだけの企画です。
以下目次。

Yusef Lateef - Love Theme From Spartacus

  • 本日付けで第1位。

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Scary Pockets feat. Julia Nunes - Crash Into Me (Dave Matthews Band - cover)

  • 最近ずっと頭に流れてる。オリジナルより好き。

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サカナクション - 忘れられないの

  • 昨年後半はずっとこれを聴いてた。ザッツ・ポップス!

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Se so neon - I'm Watching a Loneliness Just Arisen

  • セ・ソニョン。新しい少年。どの曲もよい。

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Jomanda - I Like It

  • ここからはいつもの顔ぶれ。

Paul Simon - Love and Hard Times, Best Old Version

Fairground Attraction - You Send Me

Isley Brothers - Work to do

The Four Seasons - December, 1963 (Oh, What a Night)

America - A horse with no name

Stephen Stills - Love The One You're With

Mad Clown feat. Bolbbalgan4 - Lost Without You

  • さらっと新顔。曲は数年前のもの。

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Maxwell - Fortunate

韓国勢が入ってきたのが特徴か。