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自分の取り柄、好きな音楽の見つけ方、文藝

仕事

最後の1時間でちょっとした社内企画の研修のようなもの。大変興味深かった。エネルギーを使い果たしたが、学びが多かった。あらためて、俺って瞬発力がナイな・・と実感する。自分よりも若く、才能ある女性メンバーたちのキレの良さに感服する。なまじ余計に年をとっているぶん、ついうっかりとマンスプレイニング(上から目線のおじさん語りによるレクチャー的な)をしがちだが、こういう時には本当にただ余計に年をとっているだけだと思わされる。もちろん、自分にも良いところはあるが、それは単なる個性であって、上下関係に至る何かではない。みんなそれぞれに良いところがある、その中のひとつに過ぎない的な。

無意識的な、全力を発揮せざるを得ないような状況に追い込まれると、本当にその人の実力があらわになる。それはもう、残酷なほどに。「力を抜いてできること」にその人の本当の現在地があらわれる。当人にとっては当たり前の、何重にも織り込まれた下地があると、とっさの判断・対応が必要な場面でも即興でなんなくこなせる。下地がない人にはそれはできない。必死で取り繕って、それでも中身がスカスカなのが脆くもバレてしまう。そのようなことを考えた。

その人の取り柄とは、他の人だったら必死で努力しなくては手に入れられないもの、あるいは努力をしてもなお手が届かないものを、同じぐらいのつらさ、大変さを経なくても得られてしまうもののことだろう。努力が不要ということではなく、その努力や取り組みが「それほどつらくはない、他人が感じるほど大変な我慢をする必要はない」みたいなこと。それがその人の取り柄であり、才能であり、向いていることだ。それを見つけられたら、どんなに幸運なことか。あとはそれをスタートし、続けるだけだ。

音楽

音楽の見つけ方について少し考えた。業務の後、何か家事をしながら、ふとそれについて考えた。自分は中学生ぐらいの頃から、自分の好きな音楽を見つけるのが上手かったと思う。そのコツを一言で言ったら、「他人の評価を使わない」ということに尽きるだろう。誰々がそれを良いと言っていた、とかではなく、自分がそれを聴いて「いいじゃん」とか、「またこれを聴きたい」とか、「またこれを聴くために、今この瞬間に、この曲名を確認しなくては」とか思うことが何よりも重要だ。誰か他人に、「俺、誰々の曲が好きなんだよね〜」と言うために聴くのではなく、ただ自分がそれを何度も味わい、何度も気持ちよくなるために聴くということ。

そのようにして曲名をメモして、見つけたのがたとえばこれ。

  • All Around Me - Char

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松宮一彦TBSラジオの深夜番組で流れて、ほとんど眠りかけていたが慌ててメモを取ってその後すぐにディスクユニオンに行って探した。それで当時売っていたのがこれ。
www.discogs.com

あとはピーズもそのように買った。

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もう最近のライブではほとんど聴けないけど・・。bayfmで流れてきたのをたまたまエアチェックしていたから、そのまま何度も聴いた。

サニーデイの1stもそんな感じ。

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これはたしかBS-NHKの深夜番組でPVみたいのがいきなり流れて*1、なんだこれ・・と思って翌日買いに行ったらアルバムが売ってた、という感じだったと思う。サニーデイをラップの文脈で語る人はあまりいないと思うけど、これを初めて聴いたときは「ラップのような、フォークソングのような、なんだか不思議な作りだなあ」というのが第一印象だった。今だったら、そこに「スポークンワードのようだ」とか「ギル・スコット・ヘロンのようだ」というのも加わるかもしれない。

あとはXTC。最初に買った洋楽だったはず。

  • XTC - Mayor Of Simpleton

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これは笹野みちるさんがスペースシャワーTVの何かの番組のゲストで出演して、好きな曲を紹介という流れで出てきたはず。正直、最初はピンとこなかったんだけど(英語だったので)、2〜3回目に聴いたときに突然ハマってこれもディスクユニオンに買いに行った。

ふと耳にして、「なんだこれ、なんて曲だろう」とすぐにメモするのはいまだにやっている。ジムで流れてイイと思った曲はすぐにShazamで探している。

友達から、「こういうの、好きだと思うよ」と言われてハマった音楽ってほとんどない。「何々みたい」という傾向をもとに好きになっているのではなく、突然空から降ってきた小石が頭に当たるように、それは突然自分を打つのだ。もちろん、それらの音楽は自分が探し回って発掘したというようなものではなく、レコード会社の営業力に支えられて自分のところまで回ってきたものであり、自分が選んだというよりも自分が市場のお客さんとして選ばれただけなのだとは思うが、それでもやはりその中にかすかに存在している「偶然」が音楽体験に作用しているはずだとも思う。「あれをまた聴きたい」という感覚。それだけを頼りに好きな音楽を拾い集めている。

しばらく前に知人から文藝を何冊かまとめて借りたのだけど、それを少しずつ読み進めている。とりあえず今読んでいる2020年冬号、どこを読んでも面白い。なにこれというレベル。コロコロコミックのよう。
www.kawade.co.jp

*1:しかしそのPVをその後に見たことは一度もない。NHKのオリジナルだったのだろうか・・。