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選挙に行けとか言ってくるやつら

20代半ばから30歳前後はリバタリアンかぶれというか、「他人の自由を侵害しない限りは何をしても自由でしょ」という前提で生きていたから、選挙などまったく関心もなければ行く気もなく、実際行かなかったので、選挙に行けとか言われても「お前の目的を実現したいだけのくせに俺のためになるみたいな欺瞞を言うな」と思っていた。

その考え方はある意味正しく、今でもとくに反論はできず、むしろ共感するから、自分では多分他人に対して「投票に行こうよ」みたいなことは普通言わない。

あるいは「先人が戦いの末に獲得してくれた権利を行使しないなんてもったいない」とか言われても、食べ物を残す人に対して「世の中には貧しくてご飯も食べられない人がいるのだから」とか「お米を作ってくれた人に悪いから」とか言うぐらい非論理的な話だと思ってしまうので、多分それも言ってない。

ただ当時の考え方として、投票率が低いのは社会が安定している証拠でしょ、みたいなことを思っていて、それは「投票に行かなければ社会が安定する」という主従(原因と結果)が逆転したイメージとつながっていた。それだけは明確に間違っていたと今は思う。「健康な人は薬を飲まない。だから薬を飲まなければ健康になれる」みたいな無茶な論理だった。

実際には、低い投票率が連続すれば政府与党の腐敗と独裁が進むわけで、そこまでは考えていなかったということ。

当時の自分と今会話するとしたら、「選挙に行かないのは自由だが、投票しなければそのぶん社会が良くなると思っているならそれは間違っている」と言うだろう。彼がなんと言うかはわからないが。