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文系について

  • 以前からつらつら考えていたものの、あまりまとまらないのでまとまらないまま列記していく。
  • Twitterなどを見ていると、「文系」や「理系」といった言葉を使った話題が少なくない。
  • それはそれで面白いのだけど、どうも人によって「文系・理系」が指し示すもの、つまりそれらの定義がバラバラだったり、曖昧だったり、曖昧なままバラバラだったりしているように見える。
  • 定義が異なるまま話していると、意見が対立しているようでも実は定義を揃えたら同意見になってしまったり、その逆に見解一致していると思ったら前提が真逆だったり、そういうことが起こりうるので効率が悪い。
  • といっても、ここでやりたいのはそれらを再定義する、ということではない。
  • また、それらの言葉の起源を辿りたいわけではない。そういう関心はない。
  • ここでやりたいのは、人々が「文系」「理系」というときに、頭の中で思い描いているものは何か? ということを知ること、または仮想することである。
  • 上記のように、それらは時によってバラバラだったりするようだけど、それでも共通する「文系ってこんな感じ」というイメージがあるはずで、それを最大公約数的に、「ここからここまではけっこう共通するよね」と取り出したい。
  • それによって、上では「そういうことはやらない」と言ったものの、結果的にはそれらの言葉の再定義(の提案)みたいな感じにはなるかもしれないが、目的はそれよりも、「前提を揃えるヒント」になればという事にある。
  • まず文系・理系という切り分けについてだが、その不毛さというか無意味さみたいなことについては、もう何年も前に東浩紀さんがTwitterで言っていた気がする。
  • わざわざ検索とかはしないが、当時それをリアルタイムで見て、「なるほどな〜、たしかにそうだな」と思ったような記憶がある。
  • しかし、一部の識者が「そんなのは無意味」といったところで、人々は今なお飽きることなくそうしたカテゴライズを続けているように見える。
  • これは単純に、現行の高校や大学といった進学先がそのようにカテゴライズされ続けているせいかもしれないが、そうであるなら、まだしばらくこの先も、そういった用語が飛び交うこと自体は避けられないように思える。
  • ではあらためて、多くの人々は「文系・理系」といった言葉を使うときにどんなイメージを持っているのか?
  • まず理系について。これは単純に小学校で教わる「理科」の延長にあるものがひとつ、すぐに浮かぶだろう。STAP事件で話題になった理化学研究所でやってそうなこと、とか。
    • その他だと機械工学的なことも理系かな、という気が個人的にはする。電子工作とか。2進数とか使うようなやつ。
    • その流れでロボットを作るのとかも理系っぽい。たぶん。
    • AIとか機械学習とかも。あと宇宙的なやつ。ロケット飛ばしたり。
    • あとは数学? これも少なくとも「文系」という気はしない。
  • じゃあその逆に、「文系」ってなんだろうか。
    • わかりやすいところでは、これも小学校で言う「国語」の延長は少なくともそれだろう。
    • 文学部。英文科。この辺は文系か。
    • あと上記の理系と全然関係なさそうなところで歴史とか哲学とか。
    • その他だとちょっと微妙なのが経済学。これは一般的には文系かもしれないが、実際にはめちゃくちゃ数字や公式などを使う気がするので、個人的には文系には入れづらい気がしている。
    • それからいわゆる体育系、芸術系はどうだろうか?
    • 思うに、普通の人は(ぼくも含めて)その辺も全部まとめて「文系」に含めてしまっている気がする。
  • で、ここまでの話を踏まえて思うのは、「とりあえず理科や数学っぽくないやつはぜーんぶ文系ね!」みたいな雑なカテゴライズが人々の中にはあるのではないか、ということだ。
  • 「いや、そんなことないよ、俺はもっと厳密に分類して議論しているし、皆もそうだよ、キミが知らないだけだよ」という意見もあるかもしれないのだけど、ぼくから見ると世間はその程度の雑な前提で話しているように見えるということ。
  • そして文系・理系といった言葉を用いた議論を見てとくに気になるのは、「文系」というのがある種の蔑称として使われているように感じられることだ。
  • 「あいつは文系だから」と言えばその人を悪く言っているように聞こえるし、「私は文系なので……」といえば自分を卑下しているように聞こえる。
  • と同時に、それは必ずしもいわれのないことでもないと思えて、先日基本情報技術者試験というのを受けてきたのだけど(0.5点足りなくて落ちた)、これの勉強がむちゃくちゃ大変で、とにかく計算問題などの、上記で言うところの「理系的」な問題の理解するために多くの時間を費やしてしまい、こんなのを「基本」とかいってスラスラ解ける人たちはすごいな! と心底思った。
  • 頭の出来が違うというより、もう頭の筋力というか、頭の体力がまったく違う。ぼくの場合はちょっと考えるとすぐ眠くなってしまい、あるいは出来てもすごく時間がかかってしまうので、その都度そういうのが普通にできる(ように勉強してなった)人たちとの大きな差を感じたものだった。
  • そしてそのとき、ぼくはこれまで自分を「文系」だと思ったことはあまりなかったのだけど、つくづく「完全に文系」だったと痛感した。とにかく「計算」ができない。できても猛烈に時間がかかる。そういう筋力が育っていなくて、育てるにはこれから多くの時間と力を費やさなくてはならない。そういう場所にいる。
  • と同時に、その「完全に文系」だと自分で思ったときの「文系」とはそもそもどういう意味で言ってるんだ? と自問したのがこの記事の発端にもなっている。ぼくはどういう意味で自分を「文系」だと思ったのか。
  • それは端的に言うと、上記のような「(数学的)計算」がとにかくできないということ。
  • これをもう少し抽象化して(汎用性を持たせて)言うと、「客観的な事実やデータにもとづいて論理を組み立てることができない」ということであるように思えた。
  • 「論理」と言っても、たとえば今書いているような文章は、自分の中ではそれなりに整合性がつくよう論理的に考えているつもりなのだけど、そういう意味での論理ではなく、重点は「客観的な事実やデータにもとづいて」という方にある。
  • それは逆の視点から言い換えるなら、「非・理系」つまり「文系」というのは、「客観的な事実やデータにもとづかずになんかやる」ということになる。
  • それをさらにまたシンプルに言い換えると、「文系の人は自分の想像と経験だけでものを言う」ということになる。
  • べつに特定の誰かがそうだ、という話ではない。ぼく自身の中にある「文系」のイメージを極限まで煮詰めて抽出するとそういう表現になる、ということ。
  • 「経験にもとづく」のなら過去の事実を元にしているのだから客観的では? という気もするが、ここで言うのは「自分の経験」なので、それは自分の中だけで成立している、自分がこうだと思い込んでいる過去にすぎず、客観的とは言いづらい。
  • そこで上にちらっと挙げた芸術系の話に繋がるのだけど、ぼくは美大の油絵科を出たので、それはもう「想像と経験」のカタマリのような日々だった。
  • もちろん世の中には客観的な数値やデータにもとづいて制作を行う画家もいるかもしれないが、ぼくはそうではなかったということ。とくに明確な根拠や裏付けもなく、頭で想像したことを外部に表現というか実現しようとしていた。
  • そして思うに、世の中で「文系」と言われているものも基本的にはそのような人、つまりこれといった根拠も過去の事実もデータもなく、頭の中の想像と勝手な経験則だけをもとに強引な主張を行う……そういった傾向にある人を文系と呼んでいるのではないだろうか。
  • そういう人がいいとか悪いとかいう話ではなく(まあ良くはないが)、「どうやら少なからぬ人々は文系という言葉からそういった傾向をイメージしているらしい」という、共通のイメージを前提に置くことができれば、そうした言葉を使った議論も多少は効率的に行っていけるのではないか、ということ。

Mediumの使い方

Twitter共同創業者であるところのエヴァン・ウィリアムズによるブログサービスMediumについて。

サービスの開始後間もなく使い始めたけど、実際には新たなブログを作る必要などなくて、だから「書きたいことがあるから」ということではなく、「そのサービスを使ってみたいから」という理由で場所を作ったのだった。

medium.com

ちなみにこのアイコン(↑)は2008年春頃に撮ったものなので(9年前)なんとかする必要がある。

Mediumにはその後、ふと思いついた寓話的な、というか喩え話のちょっと長めになったようなやつをメモ的に書くようになった。べつにこっちに書いてもよかったのだけど、ちょうどそのぐらいの分量のものを書きやすい、という感じがあったので。

しかし最近の話題では、Mediumもなかなか運営というか収益を上げるのが大変そうで、あまり長く使えるものではないのかなあ、という印象が徐々に高まりつつもある。

www.businessinsider.jp

一方でしかし、Mediumというのは使えば使うほど、他にはないライティング体験をできる場だとも感じられるプロダクトで、競合がない以上はもうしばらく続いてほしいなあ、という気もする。

それに元々、僕自身はMediumを主なブログ発信場所にする(乗り換える)というつもりもなかったので、今後も必要に応じて使えたらそれでいいか、と思っている。

万一閉鎖されることになっても、さすがに彼らの技術力であれば、そこそこきちんとしたフォーマットでデータをエクスポートできるようにもしてくれるだろう。(そのときには、たぶんこのブログに統合する)

Mediumはどうも運営側からすると、「良質な長文」を発表する場として使ってほしい、みたいなところがありそうなのだけど、海外ではどうなのかわからないが、日本のユーザーでわざわざ「良質な長文」を書くような人というのは、今なら「note」とか「カクヨム」みたいなところ*1に書いて、直接的な収益につなげようとするか、そうでなければ自分でWordPressなどを構築するか、あるいはこのはてなブログを含む、ある種昔ながらのブログサービスでまったり更新しそうというか、少なくとも今後どうなるかわからないような海外サービスに手を出すというのは、あまり一般的ではないように思える。

それよりは、まさにMediumという名前が示すような、ブログとTwitterの間に位置するような、「そんながっつり書きたいわけでもないんだけど、Twitterの140字にも収まらないし連投もしたくない」という場合に使う選択肢としてちょうどいいんじゃないか、と思っている。

そういう、ライトなブログ(または長めのTwitter)というポジションで、何らかいい感じの使い方というか、モデルを示してくれたら、なにか新たな道が生まれやすくなるのでは、とは思っているのだけど。

それで思い出したけど、Tumblrもその辺のミスマッチというか、サービス提供者の考える使い方と、ユーザーの望む使い方があまりマッチしていないような印象がある。サービスの開始後しばらくはそんな雰囲気はなかったが、最近は単純に、Tumblrを使った読みづらいサイトというのが目に入りやすくなっている気がする。(自分の観測範囲だけかもしれないが)

いずれにせよ、とりあえず来年の今頃(あるいは数ヶ月後?)にMediumがどうなっているか、この記事を読み返しながら状況を突き合わせてみたい。

*1:noteもカクヨムもどういうサービスなのかよく知らないのだけど。大体で書いている。

Theピーズのマイベスト10曲

1/8に10年以上ぶり(たぶん)のライブ、かつ人生初のピーズのライブを見に行ってから、

note103.hatenablog.com

その後もなかなかピーズ熱が収まらないでいたら、Apple Musicでピーズの曲が聴けると聞いて、

同サービスは以前に使って「使いづら・・」と思って使用ストップしていたのだけど、これまで使っていたサブスクリプションサービスのSpotifyの方にピーズがなさそうなので、しばらく乗り換えてみることにした。

ちなみに音楽サブスクリプションサービスについては以下に少し書いたことがある。
Spotify無料プランの感想 - 103

で、持っていなかった『マスカキザル』や『トドメをハデにくれ』などを中心に聴いていたら「やっぱり曲いいなあ」といろいろ思い出したので、そのまますぐ頭に浮かんだ順にベスト10曲を選んでみた。

この際、わざわざアルバムの収録曲とかは見返さず、また聴き返しもせず、ただ本当に頭に浮かんだ順に挙げた。

あとこういう場合、カウントダウン方式にするのが定石な気もするけど、リストを考えるときには1位から順に考えたので、普通にその順(好きだと思った順)に書いていく。

すぐに聴けるようにYouTubeを貼っているけど、オフィシャルなものはないようなので、いつ消えてしまうかわからない。
AmazoniTunesストアで買える収録アルバムのリンクを動画の下に貼っているので、フルで正規録音を聴きたい場合にはそちらからどうぞ。

ちなみに、最初は1曲ごとにコメントを付そうかとも思ったけど、大変な労力になりそうだったので、やめておいた。

2. そばにいたい

youtu.be

グレイテスト・ヒッツ Vol.2

グレイテスト・ヒッツ Vol.2

3. シニタイヤツハシネ

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とどめをハデにくれ

とどめをハデにくれ

トドメをハデにくれ by thepees on Apple Music

4. 線香花火大会

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リハビリ中断

リハビリ中断

The ピーズの「リハビリ中断」を iTunes で

5. 日が暮れても彼女と歩いてた

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トドメをハデにくれ by thepees on Apple Music

6. 君は僕が好きかい

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クズんなってGO

クズんなってGO

クズんなってGO by thepees on Apple Music

7. どっかにいこー

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マスカキザル

マスカキザル

マスカキザル by thepees on Apple Music

8. ヒッピー

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The ピーズ

The ピーズ

The ピーズの「The ピーズ」を iTunes で

9. 絵描き

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アルキネマ

アルキネマ

Arukinema by thepees on Apple Music

10. バカになったのに

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グレイテスト・ヒッツ Vol.1

グレイテスト・ヒッツ Vol.1

次点

  • 今度は俺らの番さ
  • このままでいよう
  • バイブレータ
  • ブリロー
  • 世紀末のうた
  • とりあえずここはいい気持ち

ジャケット(Amazonへのリンク)を貼って気づいたけど、たまたまながらかなりアルバムがバラけた。
つくづくキャリア全体を通して名曲を歌ってきたんだなあ、と感じる。
(次点には初めて買った『グレイテスト・ヒッツ vol.2』からの曲が多いが)

そして『アンチグライダー』以降はちゃんと聴いてなかったなあ、とも。
この機会に追いかけてみたい。

アンチグライダー

アンチグライダー

赤羽39

赤羽39

後者に収録されている「焼きめし」、めっちゃカッコイイ。

そしてピーズは来たる6/9に武道館公演。興味を持った人はぜひどうぞ。
thepees30th.com

先行予約の抽選を以下で1/25の23時までやってるみたいです。
http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?lotRlsCd=29129

Theピーズ ベスト10(2017/01/15)

Theピーズの新春ライブ at 千葉LOOKに行ってきた

2017/1/8(日)に千葉LOOKで行われたピーズのライブに行ってきた。

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「2017新春シリーズ」千葉LOOK | Theピーズ

ピーズは中2か中3ぐらいから聴いている。
まだ開局したばかりのbayfm(千葉のFM放送局)から流れてきた「そばにいたい」を聴いてハマったのだった。

その頃の習慣で、面白そうなラジオ番組があったらすぐカセットテープに録音する、というのがあって、そのときもちょうど録音していたから、それはもう何度もその番組を聴き返した。それは注目の新人を流し続ける、みたいな番組で……ってこの話、前にも書いたなと思ったらココで書いていた。

note103.hatenablog.com

じゃ、それはもういいとして(書き直しもしない……)、でもそんな好きでもライブは行ったことがなかった。
時々千葉LOOKという、歩いて行ける距離にあるそのライブハウスに来ているのはおぼろげに知っていたのだけど、自分には関係ない、となぜかなんとなくそう思っていたのだった。

それが去年の後半だったか、ピーズがTwitterアカウントで活動情報をマメに更新しているのを見つけて、
twitter.com

そのままチェックするともなくチェックしていたら、年明けに千葉LOOKでやるというのを見て、ああ、なんかこんな好きなバンドなのに一回も見たことなかったんだっけ……死ぬ前に一度は見ておかないと後悔するかもなあ、と謎の切迫感に襲われそのまま抽選予約に申し込み、当たったので行ってきた。

当日は冷たい雨、それもけっこう激しいやつが夕方ぐらいから降っていて、前日までのそれなりに穏やかだった気候から一転厳しくなったのもあって、家を出る前には「うわあ〜……今日行くの大変だなあ……ちょうどやってる仕事もキリ悪いしどうするかな……」とかウダウダ思ってみていたが、ライブを見に行く前というのは大体いつもそんな調子なのであって、「日常」から「そうではない世界」へ移行する際のちょっとした抵抗をグイと乗り越えなければいけない。

開場15分前ぐらいに会場に着いてまず驚いたのは、女性のお客さんがめっちゃ多いことだった。
ぼくはてっきりピーズって男の客ばっかりかと思っていたが、むしろ女性のほうが多かったのではないか。

いや考えてみたら、ピーズがデビューした80年代後半から90年代にかけてのバンドブームの頃っていうのはまさに女性のファンがそれを牽引というか、支えていたのかもしれず、その彼女たちが自分の好きな音楽を聴き続けてきたのだとしたら、とくに不思議なことではないのかもしれないが、事前に思い描いていた「ピーズのライブ、自分なんか行ったら強そうな人たちにすぐペシャンコにされるんじゃないか……」みたいなイメージとはかけ離れていてよかった。

しかもそれから整理番号が呼ばれるまでの15分ぐらいの間、徐々に集まってくるお客さんの多くは顔見知りというか、友人同士で来ている人もいれば、「いつも来てるから知ってる」みたいな人同士も少なくないようで、顔を見つけては「ああ」とか言ってやわらかく手を振って挨拶をするような人がけっこういた。

そういうコミュニティが、なんかある感じだった。千葉LOOKでのピーズのライブの常連なのかもしれないし、ピーズのライブ全般のファンなのかもしれない。

入場してビールを買って、しばらくしてから先にトイレに行っておこう、と思ったらその途中でいきなりハルさんに遭遇して、二言三言、声を交わしてしまった。まさかこんな近くで会うとはまったく想像してなくて、今「声を交わした」と書いたが、実際には緊張してほとんど声も出なかった。でも最初は、え、本当にハルさんなのか、と目の前にその人がいること自体がなかなか信じられなかったのだ。

初めて間近で見るハルさんは、今まで勝手にイメージしていたよりずっと体が大きく見えた。

まだツアーの途中だからセットリストなどは言わないほうがよいのだろうけど、ライブはとっても良かった。
大好きな曲も多くやっていたし、知らない曲(たぶん持ってないCDに入ってる)もいくつかあったが、どれも楽しく体を揺すったり飛び跳ねたりした。

そうだった、ぼくだって昔は(20代ぐらい)ライブでずっと飛び跳ねていたものだが、もう10年以上はライブ自体行ってなかったので、体力大丈夫か? と少し心配していたのだが、アップテンポとミドルテンポの曲がとりまぜて構成されていたせいか、最後までずっと飛び跳ねられていた。

あと大声で歓声を上げる、というのも昔はよくやっていたけど、もうしばらくやってないから出ないんじゃないか、声、という不安を持っていたけど、けっこう出るじゃん、声、という感じだった。

途中で数曲のアコースティック・セットがあり、ハルさんが一人でアコギで歌うのだが、それもよかった。
ハルさんは一人ピーズというので各地を弾き語りで回ったりもしているみたいなのだけど(物販で買ったDVDにその模様が収録されていてさっきまで見ていた)、それもむちゃくちゃいい。
もし近くで見れる機会があるなら行ってみたい。(今後またあるのかはわからないが)

千葉LOOKは小さい会場なのだけど、というか小さいがゆえに客と演奏者の一体感がハンパなかった。音がハコ全体に充溢し、アビさんがギターソロを弾きながら会場に背中からダイブして、神輿のように客に持ち上げられたまま運ばれていくのだけど(その間もずっとギターを弾いてる)、天井が低いからアビさんが客と天井に挟まれながらワッセワッセと移動していく。

もしかしたら、ニューヨーク・パンクの現場とかってこんな場所だったのではないか、とか勝手に想像する。
皆でその場所を作ってる。皆がこれを楽しんでいる。

アップテンポの曲になると、それまで後ろの方にいた人たちがウワーッて感じでいきなり突撃してきて、これはこれでまた祭り状態というか、まあいわゆるモッシュっぽい感じになって、四方八方からボコボコにどつかれるのだけど、でもそれもそんなに暴力的っていうのでもなくて、年齢層が比較的高いからか、「節度のあるモッシュ」みたいになってただ楽しいだけだった。

(時々、後ろからゴン!ってどつかれたショックでメガネがずれる、というのが何度かあって、「これメガネ落ちたら即割れるな……」という恐怖は味わったが)

ハルさんのボーカル、ベースを生で初めて見て、衝撃的にカッコよかった。むっちゃすごいエネルギーだった。そしてCDで何度もくり返し聴いて、それでも聴き足りないぐらい好きだったアビさんのギターのフレーズがやっぱり好きだった。

思ったのはシンちゃんの存在の大きさで、シンちゃんのドラムがなければやっぱりこのピーズの音は出ないのだ、と思った。どの曲をどんなふうに鳴らすとしても、シンちゃんがいれば大丈夫という感じがすごくする。不安がない。

ぼくはハルさんもアビさんも天才だと思っているが、その才能はシンちゃんのドラムがあるから最大限に開花し、ぼくらに届くのだと感じた。

ライブが終わったときには汗だくで、開場前に外で整理番号を呼ばれているとき、冷たく激しい夜の雨に打たれながらTシャツ1枚に首にタオル巻いてるだけ、みたいな準備万端だけど準備早すぎだろ、さすがに寒いだろ、みたいに思った人が何人かいたのだけど、その頃にはその人たちの方が正しかったのだと、漫然とパーカーを着ながら見始めて、途中で脱いだものの時すでに遅しで汗を噴き出しながらそう思った。

ドリンクチケットをライブ後に交換するお客がけっこう多くて(良い方法だと思った。次からそうする)、演奏が終わってからもなかなか熱気は収まらなかった。
空調があたる場所で体を冷ましながら人が減るのを待って、ようやく少し空いた物販コーナーでTシャツ(アビさんが着ていたもの)とタオルとDVDを買った。

DVDはこれ。
www.thepees.com

6月9日の武道館も行く予定。
thepees30th.com

元々は「死ぬ前に一度は見ておかないと……」という、最後の1回ぐらいのつもりで行ったのだったけど、今は「死ぬまでにあと何回見れるだろう」という、今後も当然見る感じになっている。

音声入力を用いた文字起こしでブログ(3) 〜schola16巻のつくり方〜

soundcloud.com

あけましておめでとうございます。

新年最初の投稿は、音声入力を用いた文字起こしの成果物シリーズ、第3回です。

前2回は以下。

久しぶりだったので、手順を思い出すのに集中してしまって、前のように細かく作業時間をトラッキングするのをうっかり忘れていましたが、スピードは多分そんなに変わっていないか、むしろ早まっているかもしれません。

その辺の検証や詳細な手順については次回、または趣味のプログラミング関連について書いているブログの方で書くかもしれません。

the code to rock

これまでは本当に身辺雑記というか、たんに考えをつれづれに述べていただけで、今回もまったく同じ予定でしたが、最初にscholaの話から始めたらそのままずっとscholaの話になったので、scholaの話だけしています。

と言っても10分程度ですが、プロのおしゃべりでもないので、これ以上長いのもつらいなと思って一旦切っています。

話自体はもう少し続くので、次のトライ時にはそれを使うかもしれません。

たまたまですが、本日夜10時から、NHK FMで坂本さんの年始恒例の特番が放送予定で、それもschola最新刊「日本の歌謡曲・ポップス」と合わせたテーマらしいので、並べるのもおこがましいですが、副音声的にご参照頂くのも一興かなと思います。

なお、素材の音声は年末(と言ってもほんの数日前ですが)に録音しました。

transcript

[0:00]

今日は、2016年12月29日ですね。時間は午後4時半ちょっと過ぎ、もうすぐ5時になるかなという感じなんですけど。

前に録音したのが、いつ頃だろう、10月は入ってないですかね。9月か10月ぐらいだったと思うんですけど、その頃はまだ若干余裕があってですね。

余裕っていうか、仕事以外のことも何かしらできていたんですけど、その後ちょっとと言うか、かなりと言うか、忙しくなって。10月いっぱい、プラス11月のちょうど半ばぐらいまでですかね、かなり忙しくなって。

なんでそんな忙しかったのって言ったら、12月21日、だから1週間ちょい前ぐらいに発売されたんですけど、坂本龍一さんのですね、音楽全集のプロジェクトがありまして。それを作っていたんですね。

それの最新刊が、第16巻ですね。坂本さんたちもそろそろあちこちで、それなりに話題にしてくれてるとは思うんですけど、テーマが「日本の歌謡曲・ポップス」というものでですね。

ええ、大変な目に……(笑)遭いましたけども。まあ、ブログではチラッと書いたんですけど、なんだかんだで2012年ぐらいからもう話し合いは始まっていてですね。ゲストは誰をお呼びしようかとか、こういう曲も入れてみたい、こういう曲も歌謡曲と言えるのでは、みたいな話はチラチラしてたんですね。

[3:00]

ですけど、2012年はまだscholaはひと桁巻だったのかな、まだ他の巻を作っていて、すぐには作れなかったんですけど、やがてというか、ようやくというか、じゃあ次は「歌謡曲」、そろそろ行けるかね、みたいな感じで、去年からはもう本格的にというか、チョコチョコやってて。

それであのー、コンピレーションCDなので、コンピレーションCDというのはつまり、いろんな曲、いろんな歌手によるいろんな曲を入れつつ、そのブックレットがけっこう分厚い、まあ分厚いっていうほどでもないですが、これが120ページぐらいあるんですけど、それをCDにくっつけて発売するという、そういうCDブックなんですけど。

で、このコンピレーションCDを発売しているのはavex/commmonsっていう、avexの中にcommmonsがあるって感じなんですけど、ああ、まあ実際はよくわからないんですけど、ともかくそこが発売元なんですが、そのavexの音源を収録するってことは稀でですね。

というのは、やっぱり他にそのワーナーさんとか、ユニバーサルさんとか、大手のいろいろな……って、大手に限らないんですが、いろんなレコード会社さんが出してるいい曲っていうのがやっぱりたくさんあって、坂本さんにしても他のゲストの方にしてもですね、当然そのいろんなところにある、いろんないい曲を入れたいということがあるので、そういうところの会社さんにですね、「この曲をぜひ収録させて欲しいんですけど」なんてこと言うわけですね。

これがけっこう時間がかかるというか、そういう作業がまあ、今年ですかね、メインでやって。

で、それが決まらないと作れないブックレットのページっていうのも当然たくさんありますので、それに関わるページもたくさんやったのが今年ですね。

[6:00]

まあだから、メインの作業は今年なんですけど、その土台になるようなことは去年からけっこうやってて、さらにその前の年……だから2014年ですか、にも、そこそこ話し合いはやっていたんですよね。だからまあ……長いですよね。

候補曲もですね、これはどこかで言ったかもしれないですけど、とりあえずその今回坂本さんの他に、小沼純一さんと、北中正和さんと、牧村憲一さんという方々がメインで、どの曲を入れようか、なんて話し合いをしてるんですけど、その方々それぞれから100曲ずつですね、これは坂本さんから指令というか、提案ですかね、100曲ずつ持ち合おうよ、みたいな話になって。

って、そういう話はしたかな? もしかしたらあまり他ではしてないかもしれないんですけど、まあ、秘密ってこともないと思うので、大丈夫と思いますが……ああ、ブックレットに書いたかもしれないけど、ともかく100曲ずつ、皆さんがですね、持ってくると。

自分が良いと思った、これは今回の歌謡曲&ポップスにいいんじゃないの? みたいなものを集めて、持ち寄るんですけど。なぜかですねえ、あの普通、こういう場合って重複する曲がたくさんあると思うんですけど、なんか集計したら、重複を弾いても380何曲とかなってて、その時点で。

あれ、こんなにみんなバラバラなの?(笑)って。坂本さんもそうですけど、他の方々もなんだか知らないけど、かぶらないのを持ってくるんですよね。不思議なことにね。

それで、その時点でも400曲弱ぐらいかあ、なんて言って、それをもとにまた、そこから絞っていこうってなるんですけど、でも増えていくんですよね(笑)。これもこれも、これもあった、思い出した、ってなって。それはもう、本当にウェルカムなんですけど、当然。すごくありがたいことだし、scholaの内容をより面白くする、あるいはより未来に残す、質を高める、という意味ではすごくいいことなので、ぼくもですね、「遠慮なくどんどん持ってきてください!」みたいなことを言ってたんですけど。

[9:00]

まあ一方で、それによって作業はですね、当然のことながら、延びていくわけなので、そこのジレンマというのもありつつ、まあでも最大限、候補は集められるだけ集めようといってやってましたね。

それで400はまあ、ゆうに越してですね、やがて。けっこう膨大な。

しかもそれですら、400とか言っても、絞った時点でそれですからね。皆さん厳選して持ってきたものを集めてそれになっちゃって、これをCD1枚に入れるってなるとですね、最終的に22曲になったんですけど、じゃあ倍率何倍だって言う。すごいですよね。

だからまずその絞っていくのがけっこう大変……大変っていうか、バランスみたいなこともありますし、同じ人の曲ばっかり、同じ歌手の曲ばっかり入れるってのも、まあできないですし。

あと時代も、この時代だけなんかやけに無茶苦茶多いね、みたいになってもちょっと違うし、その絞っていく過程というのはなかなか、まあ時間かかりましたよね。

けど、最終的には本当に、ええとね、あれですね。他のレコード会社さんが本当にすごく前向きに、協力してくださってですね、それはレコード会社さんだけじゃなくて、レコード会社さんを通して、さらにその作曲された方とか、歌ってる方まで話が行くケースもあってですね。

だから普段、この人のこの曲ってあんまりコンピレーションにないよね、みたいのもけっこうあると思うんですよね。まあ、「けっこうあると思うんですよね」って言って「そうそう」って言う方もあまりいないかもしれないですけど、今回は、坂本さんのそういう企画ならいいですよ、ということでOKを頂いたところもありましたね。

[11:30]

commmons: schola vol.16 Ryuichi Sakamoto Selections: Japanese Pop Music

commmons: schola vol.16 Ryuichi Sakamoto Selections: Japanese Pop Music