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 デートコースに行ってきました。ペン大のyamatoさんに誘われたのですが、最初は今日はスーパースクール(後藤繁雄さん主宰の編集教室)だったり「大谷能生フランス革命」(これ)書籍化作業があったりでダメだと思っていたのだが、急遽、後藤さんの予定変更でスクールが延長したり一個やりかけだった作業にキリがついたりしたので行けました。
 思えば僕がペン大に入ったのは、というか菊地さんを知ったのは、2003年のフジロックでデートコースのリハだけを観たときで、長ーいリハ、それもほとんどハノイだけを何度もくり返しているようなのが20分ほど続いたあとに一曲目(それこそハノイだったのか)が始まってしばらくして「んん、これは、わからない」と思って退散してしまったのでフルステージで観るのはまるっきりの初めてなのだった。
 それで観た今日の演奏のあいだ、僕はずっと考えていた。考えながら踊っていた。考えるな、感じろ、(肌で)と君は思うだろうか。しかしデートコースは「考えても感じれる」ことを実現させられる希有なバンドなんじゃないかと思ったのだ。一番盛り上がって見えるのはロック魂のヘイジョーだが、たぶんそれじゃないだろう、という気もした。ポリリズムではない、マルチリズムの構造をいつか菊地さんは「世界時計」に喩えていたけれど、世界時計では場所や時刻は変わっても一秒あたりの長さが同じだからちょっと違うはずで、これもやはり菊地さんが時々たとえに使う「バンジージャンプする人のヘルメットについた小型カメラ」という感じはよくわかった。まさに本当に、そうなんだから。12月にはジャズ系のイベント@代官山ユニット、もうすぐ録音が始まるアルバム『アメリカ』は来年2月、今日の僕が知らなかった面白い曲群はそこからのものなのか、或いはこれまでのアルバムに入っていたのか、それもよくわからない。ステージがそうであったように、アルバムも通して聴いたことがないのだ。こうなったらこのまま聴かないほうがいいんじゃないのか。
 他の出演バンドについても。オシリペンペンズは、あまりにもヴォーカルの方の裸体(上半身)と顔が美しくて見とれた。演奏もすこぶるカッコよかった。MCで「前、デートコースの前座で出たらかえれって言われた」とキレ気味に言っていてそれはたしかにネタのようにも聞こえたが笑えなかった。全然笑うところじゃなかった僕には。笑ってやれよ逆に、と君は言うだろうか。かえれと言ったのは僕じゃない、とでも?これは思春期と幼児と大人の問題だ。思春期を過ぎたら笑っていられない気分だ。幼児のように呆然とするよりなかったのだ僕は。
 面影ラッキーホールは車椅子で登場したヴォーカルの方が超絶に歌がキレイでよかった。この人とカラオケに行ったら引くだろうなと思った。そしてその部屋できっと、もっと沢山の人に聴かせたいと思うだろうと思った。その部屋でそう思っている僕をきっと、レヴィナス先生は「他者」と呼ぶんじゃないだろうか。曲群は替え歌スタイルとでもいうのか、ジャスト・ア・トゥー・オブ・アスなもの、イッツ・トゥー・レイトなもの、他にもいろいろそんな感じで、甲子園取り消しの歌が少し曲調がそれまでと外れて聴こえてそれもまた良いように感じた。一筋縄じゃない感じが。聴きながら出たキーワード、洗練されている。
 そして『水中、それは苦しい』。ぶっちゃけ、デートコースに誘われたのだったが僕は、しかし、行けることになって真っ先に頭に浮かんだのは、このグループをまた生で観れるってことの嬉しさだった。去年の年末、高円寺の円盤で体験したカウントダウンライブで、大トリの一個前だったか、このバンドを初めて聴いて、超好きになった。で、今日は最前列で観た。すべての曲が好きだった。「おっと乙武」を初めて聴いたが最高だった。そして一回しか聴いていないのに年末から折りに触れ心のベストテン常に上位5曲だった「カミングアウトの撤回」。こないだ吉田アミさんのブログでも話題に出ていた気がしたが、素晴らしい歌だったやはり。そして終了後、ピックを投げそうになったジョニーさんは投げないで目の前の我々にそれを差し出そうとしたから思いっきり手を伸ばして請うたら、ゲットした!!!!めちゃくちゃ嬉しかった。デートコースが終わって物販に『顔にやさしく』を買おうかと見に行ったらメンバーの方々がいて、ちょっと間が見つからなかったので高円寺へいずれ買いに行こうと思った。林三もアナーキーさんも最高だった。本当に最高だったんだよ。