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2004.11.03 Wednesday @JGM-20th

  • 最悪の事態を想像しない


1. 驚くほどさわやかに
 晴れた文化の日
 今日のバイトはランチのみで、朝は一度早めに起きるが、少し早すぎたので、ゴミを出して朝食(ホワイト・ソースのきのこピザとたまねぎ入り卵焼き)を作って食べてからもう一度寝る。
 そしたら異様な眠さのままバイトへ行くことに。目が半分閉じたまま仕事するなんて、毎日睡眠4時間だったペンキ屋の頃以来。


2. 昨日の掃除が
 よほど堪えたのか、帰ってきてからも出掛けようとか何しようとか、思うのだけど出来ずに、少し掃除の続きをしてから寝てしまう。

 夢ではいろいろ示唆的な場面を目にするが、勿論ここでは書かない。面白くないから。


3. 大統領選挙は長ければ
 14日まで結果がわからない。
 さすがに巡回サイトのいくつかでも言及が始まっているけど、出来るならひとつも目にしたくない心境だ。それは喩えれば、映画やドラマの怖いとこだけを早送りしてしまう心境に近い。
 僕は岩井俊二の『リリイ・シュシュのすべて』を映画とビデオで何度か観たけど、ビデオで見返すときには、主人公へのいじめのシーンやレイプのシーンは早送りしてしまいたくなる(実際にはそういうシーンほど美しく撮られているように見えて、そのまま観てしまうのだけど)。リリイ・シュシュのすべて 通常版
 できることならこの結果についても、キリキリしたりヒリヒリしたりするのを味わわないまま、結果の出る日にジャンプしてしまいたいほどだ。


4. 『リリイ・シュシュのすべて』において
 上記のようなシーンを見たくないと思うのは、その主人公や彼女にすっかり感情移入してしまっているからで、今回の場合にはとりあえず、それがケリー、乃至、アンチ・ブッシュにあたる。でも僕は格別ケリーに当選して欲しいとか、彼のどのような部分にか共鳴しているとか思っているわけではくて、ただ、松尾貴史さんが前回の参議院選の際に自身のサイトのトップででかでかと書いてらしたように、どれかを選べと言われたら、どれもイヤだとか言わずに、マシな方を選んで欲しいとだけ願っている。
 だから、出来ればブッシュでない方の人に、当選して欲しい。それは多分、少なくとも最悪ではないだろうから。


5. でも一方で
 最悪でも仕方ない。とも思っていて、それはそういったことが「僕などにはどうにも出来ないこと」だからだ。
 でもここは大事な気がするのだけど、「僕などにはどうにも出来ないこと」というのは、僕がヒエラルキー上の「下」であることを意味するわけではない。別の世界の話だから「どうにも出来ない」のであって、僕が非力だから「出来ない」というのではない。というか、非力なんだけど、ここでは関係ない。
 たとえばそれは、僕ひとりがどうこう喚き立てたところでどうにも変わりようがないし、目の前にある二つのボタンのどちらかをポンと押せばそれで事が決まるというならともかく、そうでないことに努力と集中力と貴重な(すべての生物にとって貴重な)時間をかけることは、おそらく無駄でしかない。
 イメージとしては、ブッシュ再選後の世界はまるで、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』における、ビフが君臨する暗黒の未来だ。
 それでも、そんな時代が来るのだとしても、その中で出来ることは自分がベストを尽くすこと(feat.上田次郎)だけで、それを放り出してぎゃあぎゃあ喚くのは、結果的に世界を損なうことになる。


6. 新潟で地震が起きたとき
 僕はバイト先で皿を拭いていて、街道沿いの小さな店で僕はトラックの振動に紛れて言われるまでその「揺れ」に気づかなかった。
 帰るとTVはそれ一色で、いつも閲覧しているブログの多くも、それを話題にしている。
 具体的には、”「はてな」のポイントでお金を寄付した”とか、”私の実家は〜”とか”私も以前行ったことが〜”とかいうもので、中には ”自分が何もできないことが悔しくて〜”とかもあるけど、まあ、そういったものだ。 


7. ひとりあたり千点の「はてなポイント」(つまり千円)が
 無駄だとは思わないし、実際それは有効に(たぶん)使われているんだろうとは思う。でも、本当にできることは、きっともっとずっと足元にある。


8. もしブッシュが
 再選しても、それは僕のせいではなく、にも拘わらずそれがもたらす闇は少なからずここにも及ぶと思う。ちょっとは元気もなくなるだろう。ずるい奴が笑う世界に、未来への猛烈な不安と絶望を浴びさせられるかもしれない。
 でも、いまや本当にできることは、それに対して抵抗の声を上げることでもましてや怯えることでもなく、ただ淡々と、足元にある解決されていない、且つ自分にしか解決できないことをひとつひとつ、それはじつに面倒で重苦しい作業ではあるかもしれないけれどそれでも、やっていくことではないだろうか。


9. そういえば
 このあいだJ-WAVEの『ソウルトレイン』を聴いていたら、ナビゲーターのRYUさんが「俺だったらそうだなぁ、ブッシュかなぁ」と言っていて愕然とした。RYUさん、宇多丸師匠(from.ライムスター)に聞かれたら殺されちゃうよ!と思った。
 「まあ、自分で始めた戦争なら自分でケツ拭けっていうか・・・」と、公共の電波で政治モノの発言をすることに戸惑い言葉を濁しながら言うサマに同情しつつも、でもRYUさんやっぱりそれはまずいよ、と思う。思いながら、少なくともアメリカの一部の州に比べたらニュートラルな情報が入ってきているはずの日本でさえこれなんだから、ブッシュが当選したって不思議ではないんだ、と改めて思う。あの、RYUさんだって「そう」なんだから。 


10. という感じで最近の
 地震とかイラクとか選挙とかに関する反応を見ていると、たとえばいつも巡回閲覧しているブログでも真価というか性質が少なからず浮き彫りになって、なるほどそういう反応かー、と思いながらも大抵「なんか上辺だけでは?」と思っていて、どうしてそう思うのかなと考えながらちょっと書いてみました。


11. 最後なんですけど、今日のお薦めは世界のすべての七月
 村上春樹訳、ティム・オブライエン著『世界のすべての七月』です。
 まだ最初の数分の一を読んだところですが、早くもかなしい(笑)。しかもかっこいい。ここにはやっぱし、独立した強固な(脆弱な性質という強固さを含めた)世界がありますね。


note103 日記 21:50