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Heaven’s恋文 第5回大谷能生フランス革命。パフォーマンスの占める割合が増えてきたので、撮影担当としてスタッフ参加する。
 さてこの革命、普段は2時間半近く行われるのだが、今回はこのイベント後に恵比寿の「MILK」で降神ライブがある為、というかリハがある為、志人さんは9時過ぎには渋谷を出なくてはならず、それで異例の1時間半ヴァージョン。段取りとしては例のごとく、前半はライブ・パフォーマンス、後半はトーク・セッションだったのだけど、ちょっと押しで始まったパフォーマンスの終わったのがもう8時半ぐらいで、印象としては8割パフォーマンス、トークは2割、且つエンジンがかかり始めたところで終了、といった感じになってしまった。大谷さんも含め、見ていた人の多くは「んー、もっと話も聞きたかったなー」とか思ったかもしれない。いつもの流れを知っている人はとくに。
 と、ここまで書いただけでもそのバタバタ感は伝わるかもしれないけれど、実際には開演の1時間以上前からハプニング続出ということもあって、その上であれだけのパフォーマンスを創出できたのだから、結果だけを見れば何の文句もないんじゃないか、という気もする。
 といってもそんなことはお客さんにとっては知ったことではないし、それも含め課題や反省はいろいろあった。それは正面から受け止めて取り組んで次回以降に生かしていくしかない。準備に十分はない。それが本当にもの凄くよくわかった。
 具体的には、志人さんは今日の為に新たなライブ構成(物語)を組み立てて来ていて、「第1話」「第2話」の2部構成でパフォーマンスは進んだ。『アヤワスカ・レコード』『私小説家と黒カラス』『暗殺者の恋』『ありがとうにさようなら』などなど、非常に非常に濃密な体験で、非常に非常に素晴らしい内容で、大好きだと思った。
 スタイルは、ブルーハーブやsing02の系譜に連なる語り・説法風のリーディングと、余りにも美しく力強い歌唱のフェード/カット・イン/アウトによって成り立っているが(という点ではヒゲの未亡人とも親和する・・・と本気で思った)、かといってそうした先達の影響を隠しもしない。というそれが、所謂リスペクトという事なのかもしれなくて、その実、志人さんにしか歌えない歌を歌っている。結局のところ名も知らない先達の作った音響機材や楽器を用いて、どこかで聞いた童謡のような節回しを用いて、誰かが言った良い話をする、という事を我々は繰り返していて、そのスパイラルの中で(上に向かうのか下に向かうのか)”間違いのないもの”を提示していく。
 また、このパフォーマンスを語る上で忘れてならないのはDJのshunさんで、実は終始、会場の音の悪さを気にしていた志人さんだったのだけど、それが全く気にならないほど僕がステージ世界に没頭できたのには、慣れない環境を物ともせずにプレイを続けたshunさんの力が相当大きい。
 インタビューで志人さんは「HIPHOP」をやっている意識はない、と言ったりするのだが、それはあくまで「狭義の」それではない、という意味で、何を言いたいかというと、このステージを見て僕はHIPHOPに非常に興味を持った。