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 実家でウダウダしていると、結局自分史に行き着くというか行きやすいので、そこで今ある僕の嗜好を決定付けたひとつひとつの小さな要素に出会ったり出会わなかったりするわけですが、その小さな欠片達(カケララ)の一つとして、『03』(ゼロサン)という昔の雑誌の増刊の「ポップス・イン・ジャパン」というのが出てきて、ナイアガラ氏がポップス普動説を唱えるインタビューがあったり近田春夫インタビューがあったり萩原健太VSいとうせいこう対談があったりって、今読むと激しく興味深いそれを中学時代にそれでも楽しく読んだ記憶があるっていうのは我ながら誇らしいなとか思いました。でも今の方が面白かったですやっぱり。わかんなくてもいいんだよね。ツェッペリンも高校生で初めて聴いたときは全然いいと思わなかったもの。貸してくれた人に「なんか、リズムがいいよねッ」とか言いたくなるような。そういえば同年に部活の先輩から借りたディー・ライトの『ワールド・クリーク』聴いたときもどこが良いんだかさっぱりで、「ボーカルの人の声がいいですねッ」と、これは実際言った。この前懐かしさを求めて聴いたら、凄くカワイカッコ良くって、アシッドジャズ・フレイバーとも相俟って良くも悪くも時代の音というか享楽音楽というかバブルというか、虚しいような哀しいようなイナたいようなイイイ感じになってしまった・・・。そんな当時にレディ・キアーの声を真っ先に褒めた人ってどれだけいたろうか。そう、その頃僕はダンス・ミュージックって言葉も知らなかったのだマジで(そういう人は多いと思う)。