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ああ、たのしい。人生がこんなにも、と、その渦中にあるときに思うはずがない。いま全くどうしてこんなに日々の色がないのか。嗅いでる空気の匂いがわからない。昨日走った街道の空気が悪すぎて(そのことに気づいていた)ノドから胸のあたりが焼けるように掠れている。いつかその名づけられていない気温と湿度が肌に触れて、ああ、あのときは人生でもっともかがやいた日だったと、かがやきつつあるその時間だった、どれだけたのしかっただろうアイツ、とか無責任に思ったりするのだろうか