103

宿はなし/くるり

 はいー。ということで、知る人ぞ知る楽曲分析ブログに勝手に繋がってみたいと思います。経緯は、こちらのエントリーをご参照下さいませ。→http://d.hatena.ne.jp/kazumuta/20051002/1128275870

やはりポイントは
・サビ直前に使用されるトニックの代理コードF#からサビへ突入
ドミナント・コードにつくsus4(Asus4)
・サビのG#m7♭5
・2番からの7.9th/11th 13th/9th 13thといったテンション・コードの使用
といったところでしょうか?

 とのことなので、さっそく音源を聴きながら、またテクストに出ていたコードを鳴らしながらその解説を追ってみました。それでとりあえず今回は、上記4点のうち一番ひっかかっていると思われる「サビのG#m7♭5」と、その後に「サビ直前に使用されるトニックの代理コードF#からサビへ突入 」という点について書いてみたいと思います。


■「サビのG#m7♭5」について
 これはやっぱり、『セカンダリー・ドミナントコード』として扱ってしまってよいのではないでしょうか。理由としては
・「G#m7♭5→G」は半音下降進行で、
・「m7♭5」はセブンス(増4度関係/不安定)を含んでいますから、ドミナント・コードとして「G」の登場を心待ちにさせる効果もしっかり果たしていて、
・尚且つセブンスではなくて「m7♭5」であることにより、ちょっと浮遊感があるというか、ドミナントとしてのアクを弱めているというか、早い話がちょっとオシャレ
 等々の点が挙げられましょうか。「G#m7♭5」自体は確かにキーDのダイアトニック環境にはありませんが、セカンダリー・ドミナントとして考えればむしろ教科書的な使われ方と言うこともできましょうか。
■「サビ直前に使用されるトニックの代理コードF#からサビへ突入 」について
 これに関しては、まずサビ頭「G」への導入を果していることは間違いなさそうで、ここでの「F#」の不安定な響き方からして『「G」へ半音下からズリ上がる形で向かうセカンダリー・ドミナント的役割』を持っている、ということではいかがでしょうか。
 と言うのも、この「F#」(トライアド)が「F#m7」であれば文句なしにトニック(IIIm7)ですが、メジャーな響きのようですので、ここではその直前にある「A」の3度(「Db」音)を有した「F#」を置くことで、ドミナント・コードを引っ張っているような状況としてあるのでは、と。さらに付け加えるなら、よりドミナント(解決を前提とした不安定)効果を引き出す為に「F#7」としても良いところをトライアドとしているのは、上記にもちらっと書きました「浮遊感・気の利いた感」を念頭に置いてのことかもしれません。
■また、サス・フォーもドミナント・コードへの味つけとしては常套、テンションはダイアトニック環境内のテンションであるようです。

 本当はこれ、こういうの、ペン大ブログの方で「楽曲分析」というカテゴリを使ってやりたいのですが、とりあえず「これからこういうのもやりたいんですけど」という宣伝もかねてここでやってみました。J-POP等有名な良い楽曲を用いての、クイズショウ風分析エントリーとして展開できたらいいのですが。
 ちなみに原由子さんの『花咲く旅路』は、今パッと聴いて採ってみましたが、キーCの超シンプル構造みたいで、それでいてあんな複層的に聴こえるなんて小林武史おそるべしですね。それにしてもアコーディオン(風鍵盤音)を使ってたりでオマージュですよねやっぱりくるりは。でもくるりで似てるといえばYUKIの『JOY』がありましたが、呼び合うんでしょうかね、そういうのは。というか似るのは仕方ないよね!みんな12音使って似たようなリズムの上で作ってるんだから。