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東京の体育

先日NHKのニュースで、東京都の子供の体力が落ちていて、オリンピック開催地として示しがつかないので無理やり体育の時間を増やして国内の県同士で比較した能力の順位を上げます、みたいな話をやっていて、なんて愚かなんだろう・・と震えた。

当該ニュースを探したのだけど、どうもこれ、すでにリンク切れの模様。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160128/k10010389071000.html

困ったときのインターネット・アーカイブ。
http://web.archive.org/web/20160129085541/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160128/k10010389071000.html

ちなみにこの番組、NHK News Web という名前が冗談かと思うほどインターネットの使い勝手を考えていない・・2週間以上前のページはザクザク消しているような。

他の教科は苦手だけど体育は得意。という子供が個性を活かせるように、体育の授業やスポーツの中で順位をつけたり、記録を出した子を讃えたりすることはまったく問題ないと思うが、向き不向きを考慮せず一律でこういうことをさせよう、というのはなんというか・・昭和じゃないんだから、という気がする。

しかも

教育委員会では、5年後には小学生は全国で上位に、中学生は全国平均のレベルにまで向上させたいとしています。

ということで、国内の相対評価を高めようとしているのも意味不明である。

なぜ日本の県同士で比べた順位を評価基準にするのだろう? 他の県の体力が落ちて相対的に東京の順位が上がっても目的は達成されたことになるのだろうか?
体力や身体能力の向上を目指すのであれば、絶対数値による記録が以前より良くなればそれで良いのでは・・?

というか、そもそもの問題設定の段階で

東京都教育委員会は、都内の中学生の体力や運動能力が全国で極めて低い水準にあることから、

となっているわけで、体力が落ちたというより、国内での順位が下がったことが問題になっているのか・・。

さらには冒頭にも書いたとおり、

このため都教育委員会はオリンピック・パラリンピックの開催に向けて子どもの体力向上を目指すことになり、

ということで、「オリンピックの開催に向けて」いるのもよくわからない。

体力が向上したり健康になったりするのは良いことだけど、

小学生の段階から長縄跳びなど簡単な運動に親しむ時間を作り、中学校ではスポーツの部活動に入ることを推奨するなどとしています。

これをやっている間に、本来できたはずの勉強や遊び、趣味その他を通して学校では教わらない技術に触れられる機会が減っていくわけで、そうした損失の方に思いが行ってしまう。

そういう体育以外の何かを得意とする子供たちは、その能力を高めたり評価されたりする機会を奪われてしまう。しかもその理由が「他の県に負けてるから」なのだから闇としか言いようがない。

スポーツの部活に入りたくない、と言った子供はどう扱われるのだろう? スポーツの部活に入らない子が多いクラスの担任は、教育委員会からなんと言われるのだろう?

本当にこれは21世紀の日本、それも首都で起こっていることなのだろうか・・?