最近というか去年の後半以降、という感じだけど、去年読んだ中でおお、と思ったのはこれ。
- 作者: エリック・リース,伊藤穣一(MITメディアラボ所長),井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: 単行本
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アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】
- 作者: アトゥールガワンデ,吉田竜
- 出版社/メーカー: 晋遊舎
- 発売日: 2011/06/18
- メディア: ハードカバー
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ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか?
- 作者: ダニエル・カーネマン,友野典男(解説),村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 単行本
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ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?
- 作者: ダニエル・カーネマン,友野典男(解説),村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/11/22
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しかもちょっと安い。ハードカバーは重くて高くて大変なんだけど、まあでもいいか・・というかKindle版って2分冊にする意味あるのか・・?
#ちなみに重さは同じ大きさや型の本に比べたらけっこう軽く感じるのでこの本自体のせいではない。
話を戻すと、最初のリンスタ本は前々からうっすら頭にあったようなことと、全く考えたこともなかったようなことが順番にどんどん出てくる感じ。それが右足と左足のようにどんどん駆動を促してくる。内容的には、まあようするに物を作ったりプロジェクトをいい感じに進めるためにはどうやっていけばいいか、みたいな話。ハウツー本のような自己啓発のような面もなくはないけど、あんまり感動的な眉唾な話ばかりではなくて、著者自身の失敗談とか、どっちかというとそれ成功してるのか失敗してるのか微妙じゃね?みたいな話が多いぶんリアルで参考になる。リアルなだけに説得力があるというか、なるほどそういう局面ではそっちもありかー、みたいになる。
これを読んでいてつくづく思うのは、うまく物事を進めるには、とにかく地道でメンドクサイことを絶え間なくしなきゃいけないんだな、というようなことだ。ハウツー本というのは多くの場合、ラクに&上手くやる方法を説いているような印象があるけど(あまたあるダイエット本も然りか)、ラクにやる方法と上手くやる方法が一致する状況なんて普通そうそうないのかもしれない。ここで言われているのはどっちかと言うと上手くいくための確率を上げる方法というか、少なくともラクにやる方法ではない気がする。もちろん、上手くいけば失敗による損失を補う必要もなくなるわけで、そのぶんラクになるよってことは言えるわけだけど、行動自体が簡便で済むのかというと、少なくとも「寝てる間になんでも上手くいってる方法」とかではないというか。
というかここに書かれていることからは外れるかもしれないけど、端から見て効率的にラクに動いているように見える誰かがいるとしても、それは少なくとも止まっているわけではないので、その人や方法を参考にするなら最低限の条件として自分もその参考対象と同じ程度には動いている必要がある。話はそれからだ的なことで。ここを忘れると単なる方法マニアというか、本読んで満足して終わりということにもなりかねない。もちろん本読んで満足することが目的ならそれで良いとも言えるわけだが。
その意味では、ぼくがあまたある方法本(ハウツー本)を読んで感じていた不全感、不完全燃焼感というのはようするに動けていない自分であるがゆえに、という点もあったかもしれないし、あるいは普段実行していることとは本質的にずれた内容だったということでもあるかもしれない。よく分からないが。
リンスタ本に書かれてるようなことって、これまでもちょくちょく図らずも実践していた気がするけど、あまり徹底出来ていなかったようにも思うのでもっとちゃんとやろう、みたいな風に実行できつつあるのが一番いいかもしれない。意識していないところでボロボロ落ちていく大事なものというのがあって、これまではそれが落ちていっているのをうっすらとは認識していたけど、現実のこととしては分かっていなかった、という気がする。それを止めようとしているのが今、という気がする。全然具体的ではないが、具体的なことはもう少し時間が経ったらあるいは書けるかもしれない。
チェックリスト本は、それに近いんだけどさらにやることも書かれてる対象範囲も絞られたような内容。リンスタに比べるとちょっと薄いけど(主に分量が)、ざっと「こういう雰囲気」が分かるのはいい。
カーネマン本は高い。もう内容以前に上下で4500円する。まあスコラよりは安いけど、ジョブズの伝記よりは高い。ジョブズの伝記は買っても読んでもいないけど。
しかし内容は全然それに見合ってる。コスパは悪くない。いまちょうど上巻が終わろうというところだから感想は読み終わるまで書かないほうがいいかなと思っていたけど、でも読み終わっても書けるか分からないし(というか感想というより紹介だな)、そもそも読み終わるかもわからないのでいちおう今のうちに紹介しておく。
具体的な内容は・・ええとようするに人間が判断とか選択をするときには人間に何が起こっているのか、それが妥当である場合とない場合があったとしてそういう判断をするのは(してしまうのは)なぜか、あるいは人はどういうときにどういう判断をしがちか、みたいなことを平易かつ面白おかしく柔らかく、かつ真摯につらつら書いている。ノーベルなんとか賞の人が。
この3冊(数え方によっては4冊)に共通するのは、結局「自分の無意識(または無自覚)を意識すると色々いいことがある」みたいなことだと思う。というかぼくがそういうことを今一番気にしている、というだけのことかもしれないけど。たんに直感という名の惰性に流されては時間がもったいないというか、知らず知らずのうちに大事な機会を捨ててしまっているかもしれないのでちゃんとやろう、みたいな何か。俯瞰した場所から自分を見つめる新たな視点を獲得することの重要さを説く本というか・・
まあ、同時に「何が大切か」なんてわかって終わりなことなどなくて、それが何らかの実行と結びつかないとあんまり面白くないというか、だから自分に与えられた、あるいは自分にできることをちまちま少しでも前に進めながらのことでなければつまらないとも思うし、何しろ最近の僕の気付きとしては「人間に先を読んだり俯瞰したりする能力は基本ナイ」ということがあって、第一手はとにかく実行または実行を前提とした計画であって計画だけという第一手はほぼ無駄に等しいとすら思われるので、本読んでも納得して終わりとは言えないのだが。
それとつながる話で、上記のような方法本というのは避けがたく不全感をもよおさせるところがあるので、最近は本自体が目的になるような、方法ではない「内容」が書かれているものを求めているようなところもある。たとえば、虫の生態について詳しく書かれた本とか、行ったことのない遠くのどこかであるとき起こった何かに関する記述とか。それは道具のような本というより答えとしての本とも言えて、答えが書かれているなんていうと胡散臭いけど、「この方法が答えだ」というものではないから害はない。と同時に、答えとしての本とは虫の生態でもある地域の事件ルポでもつねに「経過」が書かれているという意味では途中の書でもあって、やっぱりだから小説や人間や音楽をただ眺めるように楽しめるというところがあるのかもしれない。