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 もう一人はいつも登場のマイセンセイ・菊地さんの最近の日記で、ご存知の方はご存知のように、先頃一大傑作日記をバックアップしないせいで完全消去してしまったわけだけど、その幻のテキストについて「これはいいものが出来た」と消える前には思っていたという、そのことにビックリした。
 思うんだ、自分でも。
 ちなみに僕は自分で書いた文章を読み返すのが好きで、というか書いてる時からしてもう自分の書いてる文章に中てられていて、それは一曲のフェイバリット曲を繰り返し聴くようにして読み返されるのだけれど、そしてそれを時に自分でも「これって、癒しじゃないか?」と思ってしまったりさえするのだけれど、それに近からずとも遠からない感じで菊地さんが思っているのではないかと想像して驚いた。
 菊地さんは、自分の文章は読み返さないというし(とくに日記のような仕事でもない書き走るテキストでは)、勿論好きだからノーギャラで際限なく書いていけるのだろうとは思ってもいたけれど、それでも実際に本人がそう書くのと僕が遠く空の下で一人思うのとでは大きくこちらの実感が違う。