RubyKaigi2025に参加するために行った愛媛県松山市のレポート4回目。直近の記事は以下。
すでに一年が過ぎてしまい、もうほとんど忘れているけど、下書きしていたメモがまだ残っているのでそれを書き切るまでは続けます。最後の半日〜1日分ぐらいはその下書きがないので(そこで力尽きたっぽい)書けない予定!
2025/04/20 Sun (承前)
ピクチャーブックライブラリー くらら
オールナイトイベントで午前4時過ぎまで過ごした後、ドが付くほどの二日酔いのまま山西駅近くの「日の出食堂」で中華そば、おでんを食し、そのままあてどもなく歩いてたどり着いたのが見知らぬ海辺の町、三津浜。
そして肌寒さに打たれながら彷徨し、いよいよ帰ろうと思った頃にふと見かけて立ち寄った私設図書館「くらら」。そこは外観からはけっして想像できない漫画王国であった。「くらら」についてはこの記事がわかりやすい。
危なかった、もう少しで知らずに帰るところだった。ほんとに偶然巡り合った。写真集とかもあるけど、やはり圧巻なのは漫画。『宇宙兄弟』みたいな比較的最近の作品もあるけど、『少年キング』なんて私の世代でも知らないような古い漫画誌まであった。


先程の管理人の女性(Nさんと言った)に聞いたところでは、ここにある本はほとんど寄贈されたものらしい。それでこんなに雑多なのか。特定のセレクターがいたら絶対にこんなふうにはならないだろう。そして、それがいい。地域の人には貸し出しもしているという。その流れで「あなたはどこから来たのか」という話になったから、千葉から来た、だから残念ながら借りられないのだと言った。そんな話をしている間にも、本を返しに来る人がいる。羨ましい!
この私設図書館の正式な名称は「ピクチャーブックライブラリー くらら」といって、我々が話していた本館の脇には別館というか、離れのような小屋があり、そちらには子供向けの本を並べているのだという。と言っても、見る限り大人向け、子供向けといった区別はないようにも思えた。何しろ全部、漫画なのだ。



別館を出て、戸をすべて閉じると砂絵作家の田村祐子さんが描かれたという絵を見られる。

本館に戻り、またしばらくNさんと雑談。Nさんはじつは会社を経営していて、くららの管理人はボランティアでやっているという。一人でやっているのではなく、何人かのチームで運営しているようだった。私は自己紹介をかねて、以前に坂本龍一さんと音楽全集を作っていたのだと話した。どういう流れでそんな話になったのか覚えていないが、おそらく「自分がなぜ、今ここにいるのか」といった話をするうちに、結局ぜんぶ遡るしかない、という感じになったのだと思う。
三津浜には古民家を再生してカフェなどをやっている人がいて、近くに旧鈴木邸というのがあるから行ってみたらいい、とNさんは私に言った。「18時までだけど」と言われて時計を見ると、もう17時半を過ぎていた。じゃあ急がなきゃ、と慌てて身支度を整えていると、その向こうには三津の渡しというのがあるが知ってるか? と聞かれたので、知らないと言うと、対岸まで乗せてくれる船があるから、一回乗ってみたらいいと言った。これから未知のカフェに行って、さらにその後に船に乗るなんて、半分帰宅モードになっていた自分のキャパ的に考えづらかったが、最早そういう「普通だったらどうするか」みたいなことは考えない思考になっていたから、とりあえず鈴木邸に行ってみますと言って「くらら」を後にした。
旧鈴木邸
「くらら」で聞いた感じでは、旧鈴木邸はそのすぐそばにあるかのようだったけど、なかなか見えてこないのでGoogleマップを見ると、けっこう離れた場所にあるようだった。時計を見るともう17:45で、18時までなら入れてすらもらえないのではと思ったが、二度と来ることもないかもしれないし、引き返すのももったいないと思ったから、とりあえず「行くだけ行ってみる」の精神で歩みを早めた。さっきまで寒かったのに、汗をかきながら探し回ってようやく到着。戸を開けて、「まだ大丈夫ですか・・?」と聞きながら様子をうかがうと、店主と思しき男性が出てきて、大丈夫ですよと入れてくれた。靴を脱いで中に入ると、テーブルは掘りごたつになっていて、なんだか実家か親戚の家のよう。メニューを出してもらって、しばらく吟味してからいんげんと粒あんのおはぎとお茶を頼んだ。

お茶は脇製茶場というところの「極上煎茶『希物(まれもの)』」という見るからに凄そうなものにした。しかし名前は凄いが、全然高くない。スタバの方がよほど高い。
そのまましばらくその店主にお茶のこと、「くらら」や三津浜のことなどをいろいろ教えてもらった。来月には近くの興居島(ごごしま)という島で高野寛さんや二階堂和美さんが出演する音楽イベントが開催される予定で、これは今まで10年続いたシリーズもののイベントなのだという。
このイベントには高野さんが毎年レギュラーとして参加していて、毎回異なるゲストが来るのだという。以前にはコトリンゴや奇妙礼太郎が出演したこともあり、今年のゲストは二階堂さんなのだと。
三津の渡し
そんなあれこれについて話しているうちに、結局1時間近く経ってしまい、閉店間際にお邪魔してすみませんと謝意を伝えながら店を出た。そして、本日最後のミッションである「三津の渡し」に向かった。これもGoogleマップを見るだけだとどこにあるのかよくわからず、あたりもだいぶ暗くなってきたし、もう終わってしまっているのではとかなり不安になったが、「とりあえず行くだけ行こう」と本日何度目になるかわからない決意を胸に、それっぽい方向を目指した。遠く向こうに船らしきものが見えて、小走りに近づきながら「まだ大丈夫ですか」と聞いたら、「7時までなら何回でも出せます」と言ってくれて、時計を見たら18時50分。
www.youtube.com乗っている時間はほんの数分だったと思うが、思っていたより充実した船旅。対岸に到着して、そういえば料金っていくらなのかと思ったが、船頭さんが何も言わないので「お金とかは・・?」と聞くと、「無料です!」と言う。後からガイドを見たら、渡し船は市道にあたるので市が運営していて、年中無休で無料なのだそう。
さて、無事に着いたのは良いけれど、ここがどこなのか、そもそもなぜ対岸に来てしまったのかもわからない。再びGoogleマップを開いて、とりあえず近くに駅がないか探してみたら、夕方に見つけた三津駅の次の駅、港山駅というのが近くにあるようで、そこからなら松山市駅(ホテルの最寄り)まで1本で帰れそうだった。
休肝日
港山駅から松山市駅に戻り、宿へ。とりあえず風呂に入って、じゃあ夕食はどうしようかと考えたが、何も食べたいものが浮かばない。何しろついさっきおはぎを食べたばかりである。何か食べるなら、刺身と地酒を少しずつぐらいかなあ・・と思いつつ、とりあえず着替えて大街道の方に向かって歩いてみたが、すでに21時を回っていたこともあり、これという店がない。リサーチしていた店も焼き鳥とかやきとんの店ばかりで、今食べたい感じではない。もっとなんか、スッキリしたものがいいなあ・・なんて考えながら歩いているうちに、そもそも今日はそんなに酒が飲みたいわけではない気がしてきた。というか、メシもいらないかも。ということで、何も食べず、何も買わずにホテルに戻り、シャワーを浴びて早く寝た。数ヶ月ぶりの休肝日になった。
(つづく)