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ジェノベーゼ、泣かない女はいない

  • 少し前までは夜にゴミ出しをして、そのまま近所をぐるっと一周してから帰るのがささやかな楽しみだった。
  • すでに暗くなり、人もあまり歩いておらず、何を考えるわけでもなく、ただ静かで何も訴えかけてこない古い建物の外壁などを眺めながら歩いてまわると、なんとなくリラックスできる。
  • しかしここ数日はそんなことをするには寒すぎて、まったくリラックスタイムにならないので、行ってゴミを捨てたら最短距離で帰るようになってしまった。
  • しかし冬の夜空は見上げることに適している。見上げてふっと息をつくと、それでも少しは気が晴れるような感じがある。
  • 昼間にまとまった業務があり、いつもなら遅くとも13時半ぐらいには昼食に出るところ、今日は15時半ぐらいになってしまった。
  • 普段なら近所の飲食店などでテイクアウトの弁当を買ってくるけれど、この時間だとどこも閉まってしまっているから、珍しくチェーンのスパゲティ屋でスパゲティを食べた。
  • 飲食店で何かを食べることは普段なく、なぜならそういうところの1食は自分には多すぎるからで、上記の弁当にしても大抵は残して持ち帰って夕食に続きを食べる。
  • しかし今日は時間が遅かったこともあり、少し考え方を変えて、ブランチの夕食版、つまり昼食と夕食を兼ねる感じにしてみようと思った。けっこうガッツリした昼食、みたいな感じ。
  • スパゲティはジェノベーゼ。最初からそうしようと思っていた。本当は肉々しい感じも兼ねたかったが(夕食を兼ねているから)、あいにくジェノベーゼはアスパラとブロッコリーしか入っていない「グリーン野菜のジェノベーゼ」というものしかなかったので、それにした。肉よりもジェノベーゼの方が優先された。
  • いつもはさほどの量ではないものの、夕食のときには必ずアルコールを飲むが、夕食がないから珍しくアルコールもなし。しかし体には負担が少ないように思えるから、もしかしたら月に1回ないし数回ぐらいは、こんな感じでもいいのかもしれない。
  • 少し前に、森博嗣さんの『喜嶋先生の静かな世界』をKindleで読んだ。これは面白かった。その一部を今日ふと思い出し、それは主人公が早起きをするところだった。案外できるじゃん、みたいに思うところ。
  • なぜ思い出したかというと、今日はいつもより早く出社したから。
  • 早く出社すると、いつもよりも電車が混む。しかし良い面もあって、なんとなく健康になったような気がしてくる。そのときに、なんだっけ、そんなことを最近読んだ本に書いてあった・・と思ったのだった。

  • 本といえば、昨日ぐらいから長嶋有さんの『泣かない女はいない』をこれもKindleで読んでいた。たぶん、寝る前に読んだらちょうどいい感じではないか、と思ったのだった。
  • ぼくはいつも寝る前に電気を消した寝室でiPhoneの背景を暗くしていろいろバラバラ読んでいる。本にかぎらず、Twitterとかブログとかも。自分が書きかけているブログを読むことも多い。
  • よく、寝る前にスマホを見ていると寝られなくなるとか言うけれど、自分についてはまったく当てはまらず、パラパラスクロールしているうちに気がつくと寝ている。あるいは「もう限界」と思ってパタンとiPhoneを枕の横に落とす。
  • 話を戻すと、しかし『泣かない女はいない』に入っている表題作は非常に印象的な作品で、どんどんページをめくって、おそらく読み終えたのが2時半ぐらいだったが(本当は読み終えるつもりもなかったが)、あまりに印象が強くてなかなか寝つけなくなってしまった。まったく期待と逆の効果だった。
  • 静かで気の利いた文章をゆっくり読んで、気がついたら寝ていた、みたいな感じになるかと思ったがそうではなかった。これがつまり文学ということなのだろうか。

  • 『泣かない女はいない』は安い。Kindle版で500円ちょっと。なんでこんなに安いのか、電子版だからだろうか、と思ったけど、文庫版の電子版だからのようだった。
  • たしかに奥付を見ると00年代の作品のようで、だったらもう10年以上経っているのでけっこう昔だ。しかしそれであらためて驚くが、まったく古くない。作中の時代を感じさせる描写はあるが、作品が古いという感じではない、ということ。