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以前テレビを見ていたら、アーサー・ビナードさんがオスカー・ワイルドの言葉を引いて、戦争をダメだとか悪いとか、巨悪のように設定して否定してるだけじゃその魔力から逃げられないと言っていて、それは下品なんだよ、徹底的に下品なの。とわかることが大事なんです、みたいなことを言っていて、そのとき僕の記憶では、たしかアーサーさんがその流れでどこか外国の詩人の詩、たぶんノーベル文学賞をもらったハロルド・ピンターさんの作品だったと思うけどそれを訳して読んでいて、とにかくその詩がすごかった。内容というか、アーサーさんの訳した日本語がまず凄くて、それから、その読み方がすごかった。衝撃だった。まだ憶えてるんだから、ほんとに下品なやつが目の前に立ち表れてくる。もっとも驚くのは、その詩に登場してくる当の人間が、自分がそんなことになっているとはまったく気づいていない様子であることだ。