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白黒ではなく浅深

A君とB君の会話。

A「お前、部長のあの方針に賛成なのか?」
B「まあ、最初はな。でも、いろいろ考えて・・」
A「そうか、反対なんだな」
B「いや、そう単純な話でもない。いろいろ考えて、一度は賛成できない、とも思ったんだが・・」
A「そういうのはいいんだ。経緯とかはいいから、結論だけ言え。賛成か? 反対なのか? 結局どっちなんだ」
B「結局・・どっちだったかな。最初に賛成だったのは覚えてるよ。でも後から、課長がいいこと言ったじゃないか。あの考え方はたしかに俺も・・」
A「だから、途中でどう思ったとか、誰の意見がよかったとか、そんなことは聞いてないんだよ。俺はお前が賛成派か反対派かを知りたいんだ」
B「いやしかし、賛成派にも反対派にも、説得力のあることを言うやつもいれば、何も考えずに結論だけを叫んでるやつもいるだろう。どっちならいいとかいう問題ではないと思うぞ」
A「どっちならいいとかいう問題なんだよ。むしろ説得力とかの問題ではない。どっちかに決めてからそれに説得力を持たせればいい」
B「なるほど。面白いな。それはなぜだ?」
A「聞いてるのは俺だ。だから結局、お前はどっちなんだよ」(初めに戻る)

A君は面白い。でもB君のように生きたい。