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ある村に疫病が蔓延し、特効薬はおそろしく高い山の頂に生えた野草だということがわかった。
すでに大半の村人が命を落とすか床に伏せるかする中、ほぼ唯一山頂まで辿りつけそうな若者が見つかり村の命運が託された。
若者はたまたまそのような立場に置かれたのであって自らそうすることを望んだわけでもなかったが、もちろん頼まれれば村のためにと思うしそれで役目を引き受けた。
しかし送り出す側の一部からはひとり目立つ若者への中傷の声も聞かれ、もともと気の弱かった若者のモチベーションは下がり出発は遅れ、やがて若者も疫病に倒れた。