103

責任はとらない

プリンターはよく使う。スクリーンで読んだ文字は頭の上を通りすぎて、紙にならないと体に入ってこないようなので必要に迫られよくプリントする。畢竟インクもどんどん買い足して我ながらいいお客さんだと思うが、カラー印刷はほとんどしないのに結構な頻度で6色インクのどれかをつねに補充しているのはやっぱり不思議な光景だ。
カラー印刷の技術を培い、それを安価で提供してくれているプリンターメーカーは素晴らしいが、一方、白黒印刷をするためにはとりあえずブラックがつねに補充されてればOKですよ。という風になっていないのはオカシイ。どうして文字ばっかりの白黒原稿をプリントするために、ライトマゼンダとかシアンとかを買い足す必要があるのだろう? それも、6色の中にはほかならぬブラックも入っているのに!
作っている人だって、これでいいと思っているわけではないだろう。でも、そうせざるをえないのだ。作り手は上から言われてるだろうし(決まったことだから)、決めた人は生き残るためにというだろう。ぼくとしても勿論、プリンターを作る人がいなくなっては困るから協力をしたいと心から思う。
しかし、あまりに不便だ。
とりあえずブラックが切れてなければ、白黒は印刷できますよ、とか、シアンが切れても、青味のないのでよければカラー印刷できますよ、とか、そういう「当たり前」が通るようになったらいいなと思う。誰もが本当はそれを望んでいるはずだ。作り手が食べていけるかどうか、というのはそれと関係なく考えることができるはずだ。

テレビの報道のあり方が異常だという。まともなものもあるとは思うけど、たしかにトップニュースで連日にわたりやることか?と思うような話しもある。しかしどう考えてもぼくより数段頭のいい、物を知っている、考えている、ニュースキャスターや制作陣がそんなことに気づいていないわけがない。ネットで無責任に(というのは、言っていることが間違っていても社会的不利益をこうむらない位置から)なにかを言う人よりずっと責任を背負ってそれについて考えてるはずの人がそれをやるという、そこにもプリンターと似た構造がある気はする。だめなことはわかっている。でも仕方ないんだ、と関わるみんなが思っている。ここで反対したら、明日から食べるものがなくなってしまう、と思うだろう。
しかしぼくの使っているプリンターが不便なことは事実で、どうかと思う報道が行われていることも事実だ。それに似たことが多くあることも。できることは、これはオカシイよな、ととりあえずなるべく思い出すようにすることではないか。変える方法はたぶん人間の手の届くどこかにあるはずだ。