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いろいろありすぎた。頭の中で、いつも素振りをしている。素振りというか、何かを思いきり打っている。もちろん野球のスイングで、ボールのような何かを思いきり打っている。これ以上ない素晴らしいスイングを探している。
一個の地球で冬と夏、昼と夜、寒いと暑いが同時に生じているが、ひとりの人はつねにそのうちの一点にだけいるように、サッカーボールで太陽に向いている点と地面に接している点も一個のボールの中で同時に、かつ別々に存在している。それらとまた人間というのが同型に思え、その3つの対比、のようなことを人間関係的なことを考えるときにいつも思う。
できるのか/できないのか、という「可能性」の問題でも、どれだけできるのか、という「程度」の問題でもなく、ただそれをやるのか/やらないのかという「事実」の問題でしかない。僕がやっていることは、僕と同じような条件にある人なら誰にだって出来るし、もっと上手くやれる人も、あるいは僕ができないことをやれる人も間違いなくいる(それもたくさん)。競争なら、いつでも負ける自信がある。そのレースはもう、だからとりあえずはリタイヤということで良くて、ただそうではないところでもやれることをやっている、誰かの役に立ちもするかもしれないそれを、しかし結局は私のためでもありやっている、という部分がある気がする。