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あれよあれよという間に、夢のような時間を過ごした。まるで20の時のようだ。しかし本当に20だった時にはぜんぶが不安で夢のようではなかった。今日にしてもまた、実際にはその夢は、剣山の上に立ったもので、また同じ思いをしたいのかと言えば、剣山の方はパスさせて頂きたい、という感じ。良い方ばかりがあったなら、あるいはこのように「夢」とかゆったりしないのかもしれないが、マルチタスクが不可避的にもたらすこの、自ら提示し、自ら打ち消すような所作。ドミナントとトニックは、緊張の極地へ私を連れて行き、一気に安定の広場へ降下する。そういうのが好きなわけではべつにないが、結局は求めているのかもしれない。全部をひっくり返して、いらないよ、と言えるはずが、言えないまま今だ。あと数秒、があと何回くり返されるのか。