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つい最近、スガシカオ山崎まさよしスキマスイッチといった面々(敬称略)を擁するオーガスタという会社が主催するイベント・ライブに行って、新人のさかいゆうさんという歌手のライブを見たんだけど、ものすごく良かった。
ひと言で言うともうスティーヴィー・ワンダーだった。音楽の喜び。ピアノの弾き語りで歌うのだけど、音が全然寂しくなくて夢中で聴いた。3曲ぐらい? かな。夢中で聴いて、最後の曲が「How Beautiful」というのだったがこれが本当によかった。
聴きながら、なんか「全部クリスマス・ソングみたいじゃないか」といい意味で思った。声がちょっと、スターダスト・レヴューの根本要さんを思わせる。つまりとてもいい。
myspaceとかblogとかを見たら結構キャリアはあるみたい。コード進行とか、勉強ちゃんとやった人っぽい感じではあるのだが、ただ泣ける感じとかグッとくる感じを狙ってるだけでグッとくるかと言うとそうでもないのが世の常というか熱しやすいのは冷めやすいというか、ようするに狙ったからといってそうそう上手くはいかないわけで、だからそうじゃないところにまでどれだけ粘って残れるかというところが見どころだと思うんだけど、少なくともそのライブのときは楽曲のつくりとかだけじゃない歌の表し方にハイ・レヴェルなものを感じざるをえなかった。生きてるうちにしか聴けない、生きてるあいだにしか歌えない、というイメージがもたらすかなり寂しい気持になって、それは悪い感じではなかった。

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同じライブでmi-guやCOIL+葉葉やマイクロン・スタフや長澤知之といった方々(敬称略)も聴けてこれがまたいずれも非常によかった。オーガスタ凄いな、いろんな意味で、と思った。セッティングの転換がそれぞれ10分ずつぐらいなんだけどこれがぴったり10分とかで、それも含めてちょっとプロフェッショナル、と思った。
転換時にはそういえばスガシカオ山崎まさよしのPVがくり返し流れたがこれも聴いているうちに「あ、いいな」とか思わされた。

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このままもう少し書くか。COILの岡本さんが作ったポップど真ん中&ちょっとズラしの曲を葉葉さんが歌うのだが、葉葉さんはもんのすげー(竹中直人で)と思った。その底知れない声(音)像は、否応なしに小島麻由美さんを思い出させもするのだが、実質的にはまったく違う。方向的に、というか、なんか凄い深味があるのだが、情がナイというか、いや、小島さんが、それなら情だらけなのかと言えばまったくそういうレヴェルのところで小島さんは歌ってないとも思うのだが、ただ葉葉さんは加えてきわめて無機、であるがゆえに非常にどんなドラマでも生み出しうるような潜在能力みたいなものをその歌い回しの中にもっていて、それを底知れなさと言っている。
こう考えると、さきのさかいさんにしてもこのCOIL+葉葉における葉葉さんにしても(COIL+葉葉におけない葉葉さんを私は知らない)、僕はその「他の誰にも替えられない表し方(歌ってるときのその仕方)」に圧倒されざるをえないって感じで夢中になった。

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長澤さんは初めて見たけど凄く面白いなと思った。