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大学のときの友達のギャグで「異常にのどが渇く」というセリフがあり、どう考えてもそれをギャグで言っているのがわかるので聞くたび猛烈にウケてしまうのだが、周りの人からすればそれは普通の言い回しにすぎなくて、それもわかって言っているのがわかるから余計にウケる。筒井先生の『笑うな』というのがありますが、それも踏まえたギャグ、というわけではないだろうけどさすがに、しかし複数人の前で公然とひとりだけに向けたメッセージを、誰にも気づかれずに投げるそれというのは構造としてやはりいいかもしれないと初めていま書きながら思った。その人とはもう会わない気がするし、そういう関係もありそうだ人には、と思うがいまだにのどが渇く、と耳に入るたび脳に埋め込まれたチップが反応するかのようにヒ、とウケてしまうのはどうにかならないか。思うにいまもどこかで向こうにしたって他の誰にも知覚されるはずもないそのギャグを自覚無自覚半々ぐらいで発しているのではないか