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 ヘーゲルは、市民社会で競争して承認を求めることと、家庭で自分の存在が「丸ごと」肯定され承認されること、このふたつの欲望をおぎないあうものと考えていたように思う。おそらくこのふたつの欲望は、人間にとって本質的なのだ。


 西研著 『ヘーゲル・大人のなりかた』 終章 ”ヘーゲル哲学をどう受けつぐか”