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 六本木スーパーデラックスで、チェルフィッチュ『三月の5日間』再演を観劇。


 ・・・・・・最高面白かったッ!!! すごい!


 見ながら、このワクワクや多幸感は何だろうと考えざるを得なかった。それは、ビートルズのラバーソウルもサージェント・ペパーズもホワイトアルバムもみんなそれぞれの仕方で好きだ!っていう気持のようで、最近とても好きになったミュージシャンがいて、その人の音源をさかのぼりながら聴いているのだけど、過去のどの作品を掘り起こしても最高すぎる!っていう気持のようで、前作『目的地』も好きだと思ったが、それより、ということでもなく、ただその時好きになったそのアーティストの別の新しい作品に触れたら、それが最高好きだった!という気持のようだった。


 でも、もう少しなんか近い感覚があるような気がするのだが・・・と頭をめぐらせて考えたら、すごい近い感覚が近い過去にあったことを思い出して、それは村上春樹先生の『アフターダーク』を発売日に買ってその夜にすべての日常業務を終わらせて寝る前に読み始めるあの感じだった。そしてぐいぐいぐいと読み進めていくその感じでもあった。


 さらにそして、『アフターダーク』を読み進めながら、この、この上ない幸福な体験は一体なんなんだろう?と考えて、あ!そうだ!あれだ!と思ったときの答えというものがあって、それがこのエントリーの結論にもなるのだが、それは


 おいしいものを食べている感じ


 だ。その幸せ感というのは、ひじょうに、もの凄くおいしいものを食べている感じにとても近い。
 それはさらに言い換えるといわゆる「エロス」とか「快楽」ということにもなるのかもしれないが、そうなると今度は語の規定というか意味づけが新たに必要になってくる気がするのでここではやっぱり「おいしい」だ。『アフターダーク』や『海辺のカフカ』の初読は、僕にはあまりにもおいしすぎた。
 そして今日観た『三月の5日間』も、もの凄いおいしかった。


 あ、作品を見て具体的に思ったことについては何も触れられなかったが、それについては・・・あ!そうだ!フランス革命の岡田さんの回の註釈第二部でも書けるかも。いや本当に、スタイルに関することでも内容に関することでも、いろいろ面白いことを考えたので、良い註釈(本当の意味で解釈のメディアになれるような)が出来そうな気がしてきた今。