103

0719日記

永遠のモータウン [DVD]3) 『永遠のモータウン』をDVDで。モータウン・ミュージックは最高だ。薬理としての音楽でありノヴェルであり地味だ。ただただバーストするだけの昂揚音楽のようでありながら「お前にはわかんねだろ」ぐらいの排他性も同時に感じてしまうのは僕だけだろうか。すべてが『ヒートウェイヴ』のように上がりっぱなしの曲ばかりではなく(といっても『ヒートウェイヴ』でさえ切ない)、怒ってるのか?何か訴えたいのか?と引くほど慄いてしまう曲も代表曲群の中には少なくない。
 言ってみればモータウン楽曲作者の気持に僕はまったく移入できない。それは僕の欠落としてあるというよりも、「他人というもののわからなさ」であったり「住む世界の違い」であったりといった言い方に集約できる。東大講義でモータウンは”黒人による、戦略的な白人文化の再搾取”と形容されていたけれど、その”再”性はある種復讐的な意味合いを含んでいたように思う。しかし大抵の復讐がそうであるようにその先には何があるわけでもない。だからモータウンには感傷だけがまとわりついて離れない。感情はないが感傷はある、という言い回しはギミックに過ぎるだろうか。Commune
4) 彼女が「半額だったから」とTSUTAYAで借りてきたYUKIの『Commune』。先日同様の理由で聴いた近作の『JOY』より良いんじゃないか、というほどハマる。すべてとは言わないが好きな感じの曲が多くて、「スタンドアップ!シスター」なんてすごく好きです。スネオ作曲の「コミュニケーション」もいい。

1) ウツボさん経由(http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050717)で知った「『東京大学アルバート・アイラー』書評@毎日新聞」。そういえばウチ(実家)って毎日じゃなかったっけ?と、さっそく聞いてみるとやはりあった。東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編保存しておいてもらう。
 一万部とか4刷とか、いい感じですねー。下巻は11月アタマを目標にしてるそうなのでそれも楽しみです。

2) 昨日までの連休が飲食店では連勤を意味していて、猛暑も手伝って結構な疲労がたまる。なので今日は寝てるうちに一日が終わりそう。山下邦彦の『楕円とガイコツ』や吉本隆明の『悪人正機』などをパラパラ読みつつ、ポロポロ採譜をしてみたり。
楕円とガイコツ 『楕円とガイコツ』は奇妙な著作。うまく言えないがうまく読めないのだ。たとえば保坂和志の文章なんて回りくどいようで実はかなりすっきり読み進めることが出来るということが、これを読んだ後だとよりよくわかる。一方では書き手の人間性をこれほどリアルに伝える文章もないと思うのだけど、その一方で、何を言いたいのかが易々とは把握できない。「難解」というより「誤訳に満ちた哲学書」といった印象で、読み進む間は「脱臼」という言葉が頭について離れない。
 でもその「味」は間違いなくここにしかないもので、だからキムチを食べるうちにどんどん辛味指向がエスカレートしていくように、ラーメン二郎に何度もチャレンジしてしまうように、わからないままつい、またページを開いてしまう。「もう一杯!」みたいな(最近復活しましたねあのCM)。
 たとえば昨日紹介した『ブルー・ノートと調性』という本に関しても、そのように付き合っていくことで僕はその一端を把握することは出来るのだろうか。それとも・・・。