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 昨日あんなに買ったっていうのに、今日は図書館でたくさん本を借りてきました。どれも最高に面白すぎます。面白いものはいくら味わっても飽きないし、第一、本っていくら読んでもお腹がいっぱいにならないから(比喩ではなく現実の腹部が)時空間的に許される限り読めるのが嬉しい。食事というのは、それがどんなに美味しくてもある一定量を越えると美味しく食べられないし、よく「苦しい」なんて言うように、苦痛が生じてしまうのが良くも悪くも惜しいところで。
 というか前から思っているのだけど、本を読むって行為は食べる事ともの凄くよく似てる。音楽を聴いたり絵を鑑賞したりするのより更に。音楽も絵も本も、薬理的に「服用」する側面を持っているとは思うのだが、読書の場合はそのダイレクト面での弱さ、つまり「服用」までに若干手続きを要する部分が、食事に近いのかもしれない。「時間がかかるという性質」が、というより、「具体的にかかる時間」そのものが、ほぼ同じくらいなのかもしれないと思ったりするのですがどうでしょう。
 ちなみに今これを更新する直前までチラッと読んでいたのが加藤典洋の『テクストから遠く離れて』で、僕はこれまで、この人が平野啓一郎の『バベルのコンピューター』についての『群像』合評で言ったことを読んで以来、「もしかしてこの人、だめなんじゃないか」と思っていたのだけど、西研さんが著書でこの本のことを推薦していたので読んでみたら見方がガラッと更新されました。「もしかしてこの人、すごいんじゃないか」。かなりポップ質な本です。
万治クン
 さらにちなみにその前まで読んでいたのは、マイ・フェイヴァリット作家・永倉萬治さんの奥さま・永倉有子さんが書かれた『万治クン』で、この本は凄すぎる。永倉さんの著書を知っていればいるほど、なんというかその素晴らしさを享受できるのでは、いや、たとえ一冊もそれを知らなくてもやはり、また別の豊穣を享受できるんでしょうねおそらく。そしてこれは勿論すごく良い意味で、僕はこの本、萬治さんの一番良いときの文章を読んでいるような気持ちで読んでしまいました。
 借りてきた他の本も超面白そうなのばかりで、溺れそうです。